病院以外に身元を明かさず出産する「内密出産」を導入している熊本市の慈恵病院は、同市と共同で、子の出自を知る権利の保障に関する検討会の初会合を2日、病院で開いた。出自情報の保管や開示手続きなどの課題を整理し、来年12月に報告書をまとめ、国に提言する方針。

 検討会の意見交換は非公開で実施。会合後、報道陣の取材に応じた文京学院大元教授の森和子座長(68)によると、委員からは「出自を知りたい子が権利を行使できるようにすることが福祉の役割だ」などの意見が出た。内密出産などを利用する女性の境遇にも議論が及び、支援の必要性が改めて指摘されたという。

 慈恵病院は、親が育てられない子を匿名でも受け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)も運用している。市によると、2007年に運用を始めたゆりかごは23年3月末までに計170人が預けられた。また、病院はこれまで計11人の女性が内密出産したと公表している。

 検討会は、蓮田健院長や弁護士ら計18人で構成。今回はオンラインを含め、17人が出席した。

2023年7月2日 20:01(7月2日 21:28更新)北海道新聞どうしん電子版より転載