放送大学に近年、高校卒業してほどなく入学する若者が目立つようになった。いつでも学べ、費用の安さも選ばれる要因のようだ。

 放送大学の学生数は全国に約9万人。道内は約3400人で、主に40、50代が全体の半分を占める。

 本年度は高校卒業間もない18、19歳の若者が32人も入学した。札幌市北区の北大構内にある学習拠点、北海道学習センターの主幹、加福千明さん(65)は「20、21年度はともに1桁台だったので急増に驚いた」と話す。

 入学した動機を聞くと、「身体障害者で、一般の大学だと通学などに自信がなかった」「2浪できず、授業料が安いので卒業ができそうだ」「高卒で就職したが、勉強をしたい」―などさまざまな理由が挙がった。放送大学は住む地域を問わず、学習時間を縛られない点なども評価された。

 加福さんは、新型コロナウイルスの感染流行で一般の大学も長期間、オンライン授業が続き、「放送大学とさほど変わらない。学費の安さも加味されたのでは」とみる。学士の学位が得られる124単位分の授業料の総額は70万6千円。国立大学の3分の1だ。

 札幌市保健福祉課の山崎奨平さん(22)は石狩南高を卒業した2019年に入学。仕事と両立させ、今春卒業した。仕事の繁忙期と試験の時期が重なるなど苦労もあったが、「スマホで授業を見るなど時間をやりくりして続けることができた。卒業しても学び続けていきたい」と抱負を語る。

 学習センターは本年度、高校1、2年生向けのパンフレットを作成。道内の高校を訪問し、進路指導担当教員にも周知を呼び掛けている。加福さんは「授業料の工面で進学を諦めるのは惜しい。放送大も選択肢に加えてほしい」と話す。(編集委員 升田一憲)

2023年3月28日 05:00北海道新聞どうしん電子版より転載