通信制のつくば開成高校(茨城県牛久市)が4月、北見市内2カ所に新しいキャンパスを開設する。不登校の児童らが通う「フリースクール22」(とん田東町)に併設する学習等支援施設の北見南キャンパスと、子どもの学習支援などに取り組むNPO法人ワークフェアが運営する北見北キャンパス(美芳町)。北見市内に拠点を置く通信制高校としては池上学院高北見キャンパスに続き2校目で、オホーツク管内の若者にとって学びの選択肢が広がりそうだ。

 同校は全国各地に拠点を持つ単位制通信制高校。映像授業による自学自習やリポート提出、スクーリング(面接指導)を通して高校卒業資格の取得を目指す。

 文部科学省によると、通信制に通う生徒は全体の6・3%(2020年5月1日現在)だが、全日制・定時制課程の生徒数が年々減少する一方、通信制は増加傾向にある。最近は人間関係の問題や病気など、全日制に通うのが難しい生徒以外にも、自由な科目選択により専門的な学習がしたい生徒や、趣味に没頭したい生徒らが入学するケースが増えている。個人に合った多様な学びを得られるのが魅力だ。

 需要の高まりに対し、地方都市では学校数が少ないのが現状だ。同校の北海道エリアを担当する同校札幌事務センターの野田昌(しょう)さん(51)は「道内の通信制高校は札幌に一極集中しており、札幌と地方には大きな教育格差がある」と指摘。「地方の子どもたちに新たな選択肢を与えたい」と北見をはじめ帯広、室蘭、函館で同時開設を実現した。

 北見の二つのキャンパスのうち、北見南キャンパスには4月から2人が入学する予定。毎週月、水、木曜日に、フリースクール22の職員による個別指導が受けられ、リポート課題のサポートをする。「起立性調節障害」で朝起きられない生徒も受けられるよう、指導時間は午後3時から同6時。趣味のサークル活動や体験学習など、生徒同士が交流する機会も設ける。スクール代表の松原正彦さんは「ただ高卒資格を取るのではなく、人との交流を通して卒業後の生きる道を見つけてほしい」と願う。

 ただ、北見南キャンパスではスクーリングを行うために必要な教員数が足りず、生徒は年に2回、数日間札幌に滞在してスクーリングを受けなければならない。札幌に行くのが難しい生徒もおり、松原さんは「協力してくれる教員を増やして、将来的には北見で全て完結できるようにしたい」と話す。(宮脇ふく子)

2023年3月23日 00:38北海道新聞どうしん電子版より転載