【当別】町内在住の家庭教師高木恵子さんが、町栄町の築70年以上の空き家を約2年間かけて自ら修理・リフォームし、11日、ゲストハウス「当別ホステル」として開業させる。準備中にコロナ禍となり、くじけそうにもなったが、周囲の励ましで完成にこぎ着けた。高木さんは「国内外の観光客が道内観光する際の拠点となるような場所にしたい」と意気込む。

■「道内観光の拠点に」

 高木さんは東京都出身。道教大札幌校在学中に自然豊かな当別町にひかれ、2015年に同町に移り住んだ。卒業後も同町に住み、学生時代に立ち上げた中古車部品の輸出などの貿易業を行っていた。だが、この仕事を続けるか悩んでいた19年、知人から「町内の実家が空き家になり困っている」と相談され、この空き家を見学した。

 木造2階建ての築70年(増築部分は築40年)で、数年間、空き家状態だった。一部の窓ガラスが割れ、雨漏りで壁や床が傷んでいたが、高木さんは「修理したらゲストハウスができるかも」と考えた。

 高木さんは子どもの頃から長期休暇で長野や新潟のペンションに行き、大学時代も富良野や網走のホステルに足を運んでいた。地元の良いところを直接教えてもらえる小さなペンションやホステルの雰囲気が大好きだった。老後に宿泊業をやりたいと考えていたが、「良い物件だから今、決断しよう」とゲストハウスとしてよみがえらせることを決意し、家を安く譲り受けた。

 電気や水道は業者に依頼したが、床や壁の修繕はホームセンターで材料を仕入れて自ら行った。家の修繕中、コロナ禍に見舞われ、ゲストハウスの開業に不安も感じたが、周囲からの励ましを受けて「とりあえず完成させよう」と家庭教師を行いながらリフォームに励んだ。10月に完成した。

 客室は相部屋のドミトリールームで、5人部屋と4人部屋がある。1人当たり1泊3千円。宿泊者が自由に使える台所や洗濯機なども備える。既に海外からの予約も入っているという。

 高木さんは「自然豊かで外国にいるような雰囲気になる当別の魅力を発信したい」と語る。(今関茉莉)

12/7 5:00  北海道新聞どうしん電子版より転載