長引く新型コロナウイルスが、失業やひきこもりからの再就職を目指す空知管内の若者の足かせになっている。アルバイト先の仕事がなくなるなどして生活が困窮したり、支援機関の活動が縮小されて孤立したりする人も。離職期間が長期化することで復帰への心理的ハードルが高くなる傾向もある。このため、支援機関ではオンラインやメールなどでの相談にも力を入れており「一人で悩まずに相談を」と呼びかける。

■支援団体「一人で悩まないで」

 厚生労働省から運営を委託されている江別・岩見沢若者サポートステーション(江別)が今月18日、岩見沢市内で開いた就職応援セミナー。約10人が参加し、利用者の就職状況や受けられる支援などについて説明を受けた。

 管内の20代男性は正社員採用を目指して就職活動をしていたが、コロナ禍で企業の採用が減ったことなどもあり断念。この2年間は農作業のアルバイトをするなどしてしのぎ、今月から活動を再開した。「自分にできる仕事があるのか不安。いろんな仕組みがあることが分かったので、積極的に頑張りたい」と話す。

 江別市と空知管内を管轄する同ステーションは、岩見沢や滝川などを含めて年間約100人が相談に訪れる。コロナ禍で件数に増減はないものの、「シフトを減らされて生活が苦しい」「感染への不安があり、就職活動を中断したい」「家族から外出を止められている」などの相談が増えた。

 相談支援員の吉田佳織さんは「コロナ禍で生活のペースが崩れたり、周囲の状況がつかみにくくなったりしたことで不安が重なり、ますます動きにくくなりやすい」と分析。新型コロナを機に自己分析や企業紹介などのオンラインプログラムを取り入れ、切れ目のない支援につなげている。

 岩見沢市設置の市生活サポートセンター「りんく」では、相談者数が19年度の172人からコロナ後の20年度は277人、21年度は247人に増加。「収入が減り、家賃が払えない」「コロナ禍で体調を崩し、働けなくなった」などの内容が多かったという。

 りんくでは新型コロナ以降、就労準備など約10のプログラムが緊急事態宣言などで一時中断。外出の機会が減り、ひきこもりに戻ってしまうなどのケースもあった。

 主任相談支援員の伊藤暁恵さんは「メールやラインでも相談に応じている。誰かとつながり、不安を話すことで安心材料にしてもらえれば」としている。(斉藤千絵)

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11/28 22:43 更新 北海道新聞どうしん電子版より転載