小樽市は12月から、高齢者の生活を支えるため、有償ボランティア事業をスタートさせる。介護の専門的な支援はホームヘルパーが、それ以外の支援はボランティアが―と作業を分担してもらい、介護分野の人手不足に備えたい狙い。市内全域での有償ボランティア事業は初で、ボランティアを務める市民、利用する高齢者を募り始めた。

 市の「生活支援体制整備事業」の一環。福祉施設「はびりす」(緑3)が委託を受け、運営主体となり実施する。高齢者は1回につき15分300円、30分500円で利用でき、上限は2時間。ボランティア側は15分200円、30分300円分のクオカードを月単位で受け取る。差額は運営費に充てる。

 同施設によると、訪問介護では介護保険制度が定めていない、嗜好品の買い物代行や庭の草むしり、手紙代筆などの支援は行えない。一方、市内はホームヘルパーの高齢化や人材不足が課題になりつつあり、訪問介護を希望する人が今後サービスを受けられなくなる恐れも出る。

 市によると、有償ボランティア事業が軌道に乗れば、介護保険ではサポートできない分野もボランティアが穴埋めできる。市は「結果的に介護分野の人手不足解消にも期待が持てる」(福祉総合相談室)とみる。

 同施設は登録者が増えれば、同じ地域同士のボランティアと高齢者を結びつけて、「顔の見える関係」を築くことを目指す。はびりす施設長で生活支援コーディネーターの菅田葉月さん(48)は「無料では支援をお願いしにくいと感じる高齢者も多い。低額で気軽に利用できる仕組みにして事業を長く継続したい」と話す。

 12月から来年3月は「試行」、4月以降に本格始動を目指す。高齢者やボランティアに参加する市民は事前に「はびりす」に登録する必要がある。申し込み、問い合わせは「はびりす」、電話0134・24・6778へ。

11/09 21:03 北海道新聞どうしん電子版より転載