障害者の1人暮らしや難病患者の治療を後押しする障害者総合支援法などの改正案が9日、衆院厚生労働委員会で審議入りした。本人の希望に沿った就労支援なども行う。強制入院の一つである医療保護入院を巡っては、家族の意向が不明でも精神障害者を入院させることができる見直しを盛り込み、障害者団体から「望まない入院が増える」との批判も出ている。

 この日の委員会は、厚生労働省が改正案の趣旨説明を行った。改正案は精神保健福祉法や難病医療法などを束ね、施行は主に2024年度。今国会での成立を目指す。

 障害者支援では、少人数で共同生活するグループホーム(GH)で、入居者の1人暮らしに向けて事業者側が家事や買い物の練習を援助できるよう明確化。GH退去後の相談も受ける。本人の希望に合った仕事を選ぶ「就労選択支援」という仕組みを新設する。

 国の指定難病患者は、医療費助成を従来より前倒しで受けられるようにする。

 医療保護入院の手続きも変える。現行は本人同意がない場合、医師の判断と家族らの同意を必要とし、家族らがいないケースでは市町村長の同意で入院させることができた。改正案は、本人と疎遠になっているといった理由で家族が意思表示を放棄した場合も、市町村長の判断による入院を可能とした。

 障害者団体は「歯止めとなってきた家族同意が縮小すれば、不要な入院が増える懸念がある」と指摘。既に今国会の別の委員会質疑で「法案に毒が含まれている」(れいわ新選組の天畠大輔参院議員)との批判が出ている。

 改正案は医療保護入院の入院期間を定め、期間ごとに要件を満たしているかどうかを確認すると規定。厚労省は入院する人の権利を擁護できるとしている。

11/09 17:13 北海道新聞どうしん電子版より転載