道南で働く医師や看護師らを増やそうと、渡島管内松前町の松前高や函館中部高の生徒らを対象に、地域医療の魅力を伝える「おらが町から医者をつくるぞプロジェクト」の代表を務める。自身も松前町在住の歯科医で「医療は信頼関係が大事。特に高齢の患者さんは、医者が自分と同じ故郷であるなど身近な存在と感じてくれれば、心を開きやすい」と力を込める。

 医療職を目指す学生は地方勤務を避ける傾向がある。都市部の大病院で経験を積みたい、地方だと買い物や子供の教育など生活面で制約を受けそう―などが要因とされる。こうした状況を打破しようと、2015年に町立松前病院の医師ら10人ほどとプロジェクトを立ち上げた。

 プロジェクトでは学生が直接、医師や看護師らから仕事のやりがいなど聞くほか、高校生同士が地方医療のあり方について意見交換する。今年8月までの計7回で、延べ109人が参加。約20人が大学の医学部や看護学校などに進み、町立松前病院に勤務する看護師も4人誕生している。

 参加学生の気持ちを高めるため、医療着「スクラブ」や名札を支給するなど、毎年、半年ほどかけて内容を考えたり、日程調整したりしてきた。「生徒にとっても刺激になっている。議論を通じて、医療は医師や看護師らのチームワークで行うことを伝えたい」と目を細める。

 松前町出身。岩手医大歯学部を卒業後、函館市内の歯科医院に勤務し、30歳で開業した。妻の富士子さんが歯科医の会計などを担当する。ドライブが趣味の58歳

9/19 09:57 北海道新聞どうしん電子版より転載