地方財政論が専門で、2016年の「夕張市の再生方策に関する検討委員会」にも加わった西村宣彦・北海学園大教授の話 昨年のマルハニチロ工場閉鎖など大型事業所の撤退が相次いだことが影響し、人口減少率が06年の財政破綻表面化時の水準に上昇したのが気にかかる。(転出数と転入数の差である)社会減が減るどころか、むしろ増えているのが大きい。

 市民の中には「このまま静かに老後を過ごしたい」と、市に大がかりな施策を望まない声もある。しかし、緊縮財政を続けているだけでは、いつかその安逸な老後もかなわない事態を招きかねない。

 人口が少なくても、住民が幸せに暮らしている町村は少なくない。夕張はコンパクトシティー化を一層進めて中心市街地形成を誘導するとともに、何か攻めの事業も必要ではないだろうか。

 市職員の中途退職者が続いているのも懸念される。厚谷司市長が「夕張は必ず再生する」と熱く将来の希望を語り、国や道、大企業トップらに訴えかける姿勢が市民や職員に安心感を与えると思う。今こそ市長の発信力が問われている。

4/22 05:00 北海道新聞どうしん電子版より転載