無題 | かくせいのうらはら(別館)

かくせいのうらはら(別館)

某yahooよりお引っ越し、こちらはこちらで。

自室から出てきた古びたメモ 、
「手近な絶望  回らない頭  元来くだらない」
おそらく十数年前のもの。

当時、家という場所が苦痛で窒息しそうな日々の中で何かを求めていた十代後半。
不器用なりにも少なくとも今より一生懸命ではあった。

父親という名の人間が家を出ていった冬の朝、
家具が階段を通れず、隣の私の部屋の窓から吊り下ろす形に。
深夜バイト後で寝ていた私は、母親に起こされ事情を説明され渋々立ち上がる。
引っ越し業者が窓枠を外した瞬間に吹いた風、ひどく晴れた空、目が合うも言葉を交わさない父親。
あの感覚が今も消えない。

そして現在に至るまで父親とは会っていない。
どこかで生きているのだろうと漠然と思ってはいるが確証はない、確める術も気もない。
「死んだ」という連絡はない、ただそれだけの話。

父親が居なくなった直後、私は舵を切る。
ボクシングを辞める、車の免許を取る、カメラを買う。
理由は少し複雑なのですが、端的に言えば「人生をやりなおす」という事。

実際やりなおす事ができたのかはわからない。



ふと鷺沢のwikipediaを見て「35」という数字に驚く。
12年前に受けた鈍い痛み、また表現者が逝く。
鷺沢が時を止めた歳に、あと数年で追い付いてしまう。

意固地に貫きたいものが、いくつかある。
そのことをずっと考えている。