田中宇:欧州エリート支配の崩壊 | 白鳥 瞳 でございます。。。

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田中宇:欧州エリート支配の崩壊

 

欧州は、支配するエリート層(中道派、左派)が失敗の連続で信用を失墜している。エリート層は、対米従属でやったウクライナ戦争に失敗し、対露制裁でロシアからの安価な石油ガス輸入を止めたので経済が自滅。無根拠な地球温暖化人為説に基づいて進めた石油ガス制限でも経済が自滅。左翼リベラル思想に基づいて進めた中東からの移民の積極受け入れ策も社会混乱しか招かず失敗した。
エリート層は多方面で失敗したのに政策を転換せず、対米従属もやめていない(安保面で牛耳られているので対米自立できない)。欧州の人々は、エリート層に愛想を尽かし、各国の選挙で次々とエリート層が敗北し、代わりに草の根から出てきた右派が台頭している。
 

エリート層は、傘下のマスコミ権威筋を動かして右派に「危険な極右」の濡れ衣レッテルを貼って台頭を阻止しようとしたが、しだいにレッテル貼りのウソがバレ、人々はむしろエリートとマスコミへの不信を強めた。
エリート層は、自分たちの支配を崩したくないので、右派政党を非合法化する民主主義の否定や、右派支持の言論を違法化する言論自由の否定までやり始めている。ドイツの上層部は、右派政党AfDを非合法化することを検討している。民主主義と自由言論で世界から尊敬されていた欧州は、すでに消失している。

 

東欧のスロバキアでは、右派のロベルト・フィツォ(フィコ)首相が5月に銃撃されて重傷を負った。西欧と米国のリベラルエリート層と背後の諜報界が、スロバキアの野党系を動かしてフィツォを消そうとした。欧米のリベラル系マスコミは、極右のフィツォが銃撃されるのは自業自得だといった感じの記事を出した。安倍晋三が殺されたのは自業自得だと騒いだ日本のマスコミと同じだ(両マスコミとも米諜報界の傀儡)。

 

6月初めに行われた欧州議会選挙は、フランスなどの諸国で右派が議席を増やした。フランスでは、右派の国民連合が、マクロン大統領の与党の中道連合(Besoin d'Europe)よりもはるかに多く得票した(31% vs 15%。左派は14%)。
不利を挽回したいマクロンは、議会下院を解散して総選挙に打って出た。だが、6月30日に行われた仏下院議員選挙の1回目の投票は、右派33%、左派28%、中道20%で、マクロンの勢力は3位に落ちた。

 

フランスの議会選挙は、選挙区ごとに、1回目に投票総数の過半数を得る候補者がいなかった場合、2回目の投票を行って最多数得票者を当選とする。2回目の投票は7月7日に行われるが、その準備として、左派と中道が結託して右派の当選を減らす策が展開されている。
今回の議会選挙の結果がどうなっても大統領のマクロンは辞めない(次の大統領選挙は2027年)。だが、右派が下院の過半数を取ると、マクロンの政策が通らなくなる。それを防ぐため、マクロンは左派に接近した。
2回戦を前に、多くの選挙区で、中道と左派のうち強い候補が残り、弱い候補が出馬を取り下げ、弱い候補の得票が強い候補に移るようにして、右派候補を打ち破る策がとられている。577の全選挙区のうち218の選挙区で中道と左派が候補を統一した。

 

今回フランスで右派が政権をとることは回避されそうだが、中道と左派はすでに、ロシア敵視(対米従属)、移民政策、温暖化対策、コロナ対策など多くの面で大失敗し、大半の人々に支持されていない。中道と左派は失敗を認めず、むしろ失策に固執しているので挽回も不可能だ。
フランスはいずれ右派が政権をとる。これは確定的だ。ドイツや北欧でも同様の状態だ。イタリアは、すでに右派が政権にいる。ハンガリーの右派首相オルバンは、オーストリアやチェコの右派与党と連動し、欧州議会などで全欧的な右派連合を強化していく動きを開始した。
オルバンは、米国のトランプのMAGAとも連携している。欧米のリベラルからの敵視に反論しているロシアのプーチンとも連携している。これは拡大していくだろう(オルバンが殺されない限り。いやむしろ殺されても)。

 

欧州は全体としてみると、いまだにエリート支配で、すでに大失敗が確定している超愚策を強硬に推し進めている。
EUの大統領(欧州委員長)として再任されるフォンデアライエンは、ロシア敵視や温暖化人為説やコロナワクチン強要など、EUやエリート層の超愚策に反対する人々を、危険な偽情報の発信者として取り締まって有罪にすることが「民主主義の防衛」のために必要だと主張し、全体主義的な言論統制の法体制を強化しようとしている。

 

フォンデアライエンら欧米のリベラル政治家たちは、以前からこの手のことを言い続け、EUは言論統制を強めてきた。EUの諸策の方が大間違いであり、反対する人々の方が正しいのだが、だからこそ、言論の自由を認めていると、より多くの人々が反対派の合理性に気づき、フォンデアライエンらエリートの方が負けてしまう。
それを防ぐため、全体主義を敷いて言論統制したり、右派首相を銃殺する恐怖政治を敷きたがるのだが、中長期的にはそれも逆効果で、選挙のたびにエリートの超愚策と全体主義を批判する右派が勝っていき、エリート支配層とそのうっかり傀儡たち(中道派と左派)が崩れていく。

 

EUのエリート層の中には、自分たちの失敗に気づいている人も多いはず。目立たないように方向転換して超愚策をやめていけば延命できるのに、彼らはそれをやれていない。欧州を傀儡化している米国(諜報界の隠れ多極派)によって阻止されている。
EUは上層部が交代し、新たなEU外相(外務安保上級代表)に、エストニアのカヤ・カラス首相が就くことなった。旧ソ連の小国であるエストニアは、冷戦後に独立してEUやNATOに入り、米国に誘導されてロシア敵視の小道具として使われてきた。

 

カラスは以前から積極的にこの流れに乗り、米傀儡のロシア敵視屋としてエストニア首相になった。そして「ロシア全体をエストニアぐらいの広さの無数の小国群に分割するのが目標だ」といった感じのネオコン的な発言をしている(大英帝国は、アフリカを無数の小国群に分割して恒久弱体化した。ネオコンは、中国を多数の小国に分割して民主化すべきだと提案した)。
 

EUがウクライナ戦争の大失敗から方向転換して挽回することと正反対の人事策が、カラスのEU外相への起用だといえる。
カラスは今後もロシア敵視の発言を繰り返しそうだが、欧米がロシアを声高に敵視するほど、中国印度など非米側がロシアを応援し、ロシアと非米側が強くなり、欧米の自滅が進む。いずれ最終的に欧米がロシア敵視をやめると、エストニアなどは欧米に見捨てられ、以前より弱い立場でロシアにすり寄るしかなくなる。哀れだが自業自得。
カラスは、米傀儡としてロシア敵視発言を繰り返して首相まで登りつめた半面、家族がウクライナ開戦後もロシアとの貿易で儲けていたことが発覚してスキャンダルになっている。欧州の対露敗北が確定した後の今の時期に、カラスをEU外相に据えるのは、まさにネオコン的な隠れ多極主義策で、笑える。この人事を大真面目でやっている欧州エリートは、大馬鹿か、日本以上に米国に縛られている奴隷だ。

 

ウクライナのゼレンスキー大統領が対露和解を考えている感じになっているが、ドイツのショルツ首相は、ウクライナの対露降参による停戦を絶対支持せず、プーチンの和平案を拒否すると議会で宣言した。欧米側はもうウクライナ戦争で軍事的に勝てないことが確定して久しく、現実策はプーチン提案しかないのだが。
今のドイツは平和を支持せず、恒久戦争を希求する。ドイツ軍の対露再戦争が期待されるが、ドイツはウクライナ戦争の参戦国でないと宣言し、高見の見物をしつつ。

 

ショルツは、フランスの選挙で右派が政権をとるのを阻止したいとも発言した。ドイツは民主主義を尊重しない。フランスが右派政権になったらドイツ軍が80年ぶりにパリに侵攻してマクロン政権を復権するとか??。ドイツは放っとくだけで今後さらに自滅していくから、何も言わなくて良いんだが。

 

欧州エリートは今後も超愚策をやり続け、崩壊していく。その方向性がすでに不可逆的に確定していることは、欧州エリートを誘導して各種の自滅策をやらせてきた世界経済フォーラム(WEF、ダボス会議の主催者)の50年以上の指導者・創設者であるクラウス・シュワブが5月に辞任し、その後在任中のセクハラ問題が噴出して汚名にまみれたことからも感じられる。

 

シュワブのWEFは2020年ごろから「大リセット」を世界的に推進した。大リセットは、無根拠な人為説に基づく地球温暖化対策や、コロナ対策として大間違いな都市閉鎖策、有害無益なワクチンの強制策など、最初から間違いだとわかっているのにそれを隠蔽して推進する諸策を、先進諸国に強硬にやらせた。
シュワブは昔から欧米各国でリベラルエリートな若手政治家を育成し、首相など指導者になった彼らを言いなりにやらせて大リセットの超愚策を推進した。

 

大リセットは、最初から欧米の自滅を目的とした米諜報界の隠れ多極派の策であり、諜報界がシュワブを乗せ、シュワブが子飼いの欧米指導者たちを乗せてやらせたのだろう。
シュワブが以前からやっていたセクハラが問題にされて辞任に追い込まれた時点で、大リセットは当初の目的を達成し、欧米エリートの自滅への道が不可逆的に確定したのだと考えられる。
大リセットの策が途上である限り、シュワブがいくらセクハラをしようが、それが問題にされて辞任に追い込まれることはなかったはずだ。シュワブがいなければ大リセットの推進が難しくなるからだ。シュワブのセクハラ露呈は、大リセットが目的を達成し、シュワブとWEFが「用済み」になったことを意味している。

 

この関連でウクライナ戦争の話も書きたいのだが、すでに長くなっているので、この辺でいったん切って配信する。一点だけ書いておく。
ゼレンスキーが和解に傾いているのを阻止して戦争を長期化するため、米国がウクライナ軍を動かしてベラルーシ国境沿いに結集させている。ドイツはうれしいよね。

 

この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/240704europ.htm