田中宇 さん トランプ さんの 有罪 | 白鳥 瞳 でございます。。。

白鳥 瞳 でございます。。。

今は俺のおすすめを主に書いています。

よろしくお願いします。

過去記事も追加や訂正を行なってます。

田中宇 さん トランプ さんの 有罪

 

5月30日、米ニューヨーク州地裁が、口止め料裁判(34の裁判の集合体)でドナルド・トランプ元大統領を有罪にした。この裁判は、米国の権力と権威を握る民主党やエスタブ勢力が、反エスタブな共和党のトランプさんが11月の選挙で大統領に返り咲くことを防ぐため、無理矢理に進めて有罪評決にした。
裁判の形式をとった政治弾圧になっているが、同時に、有罪判決が覇権放棄屋トランプさんの支持者を増やす結果になるという隠れ多極主義的な色彩を持っている。

 

この裁判は、トランプさんが2016年の選挙前に、以前の不倫相手だったストーミー・ダニエルズさんに弁護士経由で13万ドルの口止め料を払い、その支払いを、口止め料でなく、弁護士への一般的な報酬であるかのように偽装したという(不確定な)話に基づき、この偽装がNY州の選挙法17条152項の、不正な手段で候補者を支援もしくは妨害する謀議をする行為を軽犯罪に指定した条項に違反するとして、検察がトランプさんを起訴した。
トランプさんは、ダニエルズさんとの不倫も、口止め料の支払いも、偽装工作も否定してきた。ダニエルズさんは、カネを受け取ったと言っている。トランプさんの顧問弁護士だったマイケル・コーエンさんは、検察側に味方し、トランプさんから口止め料(裁判の途中で、契約的な口止め料でなく、見返りの不確定な心付けだったと言い方を変えた)の支払いと偽装を依頼されたと法廷で証言し、トランプさんはうそつきでコーエンさんが正しいとみなされて有罪評決が出された。
トランプさんとコーエンさんは当時、不倫を隠し口止め料を偽装してトランプさん自身を不正な手段で有利にする謀議をしたとみなされ、NY州法違反になった。この州法の条項は、これまでほとんど使われていない。軽犯罪にしかならない条項だが、この件は米大統領選という重要案件での偽装なので、禁固刑(投獄)を含む重犯罪が例外的に適用された。

 

共和党支持者を含む米国民の多くが、トランプさんの過去の素行から考えて、ダニエルズさんと不倫したのだろうと思っている。不倫も、口止め料の授受も、違法行為ではない。不道徳・反社会的な行為かもしれないが、それでも支持者たちは男女問わずトランプさんを強く支持している(民主党側の方がはるかに根深く悪質だから)。
口止め料を、一般の弁護士料のように見せかけたいという偽装も、支持者から見れば目くじら立てる話でない。不倫や口止め料で違法にできないので、重箱の隅つつきで、使われていない州法の条項を引っ張り出してきて無理矢理に偽装で起訴したのだろうと、共和党支持者は思っている。

 

この裁判を起こした検察官(Alvin Bragg)は、民主党の大金持ち活動家のジョージ・ソロス(著名な投資家)から資金をもらっている民主党支持者で、民主党支持者が95%を占めるマンハッタンの裁判所で起訴することで、陪審員のほとんどが民主党支持者になるよう仕組んだ。トランプさんは所轄裁判所の移動を申し立てたが却下された。
実際は、陪審員の評議の際にトランプさんは無罪だと主張する陪審員もいたが、検察側に入れ知恵された他の陪審員たちから2日がかりで主張を潰された。陪審員の評決は、全会一致でないと有効とみなされない。

 

トランプさんは有罪になり、共和党大会(7/15)直前の7月11日の量刑発表で投獄(収監)されるかもしれないが、獄中からでも立候補を継続できる。そのまま当選したら、獄中で大統領の職務に就くことになりうる。
有罪評決後、トランプさんへの献金が急増した。米国民の半分を占めるトランプさん支持者から見ると、民主党やエスタブ層・マスコミ権威筋は、トランプさん再選を防ぐために米国の司法制度を破壊している。
しかも有罪は、トランプさんを弱体化するどころか逆に強くしている。政治歪曲された裁判は、米国のエスタブ支配を支えてきた米国の司法制度を弱体化し、エスタブの自滅を加速している。

 

今回無理矢理に使われたNY州の選挙法17条152項は、トランプさんの裁判でなく、2016年の大統領選で民主党のヒラリー・クリントンさん陣営がトランプさんを潰すためにロシアゲートをでっち上げた際の違法行為(費目の偽装)を裁くために使われるべきだった。
クリントンさん陣営(民主党本部)は2016年の大統領選に際し、トランプさん陣営がロシアのスパイであるという話をでっち上げるため、英諜報機関MI6のクリストファー・スティールさんにカネを渡し、うわさ話やウソを列挙した報告書を作らせてマスコミにリークして広めた。エスタブの一部であるFBIが、でっち上げの容疑でトランプさん陣営を捜査する妨害策をやりだした。

 

クリントンさん陣営は、スティールさんに渡した報告書作成料を、弁護士費用と偽装して会計処理していた。この件こそ、NYが地盤であるクリントンさん陣営が、不正な手段でトランプさんを妨害する謀議をしたNY州選挙法違反の行為だ。
スティールさん報告書にまつわる不正は、ジョン・ダーラム検察官の調査で昨年5月に正式に暴露された。本来なら、ヒラリーさんら民主党幹部がNY州選挙法違反で有罪になるべきだったが、トランプさん登場以降、民主党やエスタブは、選挙不正を連発して権力を維持するなど、なりふり構わぬ腐敗ぶりになっており、ダーラム報告書はほとんど無視されて終わった。
私から見ると、ヒラリーさんや民主党を裁くべきNY州選挙法で、トランプさんが無理矢理に裁かれてでっち上げ的な有罪判決を受け、しかもそれがトランプを強化している事態は、わかっている人が見たら深いジョークとわかる隠れ多極主義のシナリオだ。

 

トランプさん有罪をめぐる隠れ多極主義的な深いジョークは他にもある。バイデン大統領の息子ハンター・バイデンが、コカイン中毒であることを隠して2018年に拳銃を購入していたというチンピラな違法行為がバレて、拳銃不法所持で6月12日に有罪になったことだ。トランプさんの有罪と同期させるのが目的かと思われるタイミングだ。

 

バイデン家の罪は、トランプ陣営の「罪」と異なり、本物だ。ハンターはその後、麻薬をやめたことになっているが、ハンターが出入りしている米大統領府では最近コカインが発見されており、ハンターが持ち込んで摂取していた疑いがもたれている。
父バイデン大統領は繰り返し「ハンターはとても立派な人間だ。間違いない」と宣言している。彼は、この感性で世界を動かしているわけだ。隠れ多極主義的である。

 

トランプさんは現在、今回の口止め料裁判のほかに3つの刑事裁判を抱えている。いずれも茶番劇だ。一つは、2020年の大統領選でトランプさんが不正に落選させられたことに怒った共和党支持者たちが2021年1月6日(J6)にワシントンDCの連邦議会議事堂前に集まり、反トランプさんなFBI要員に扇動・誘導されて議事堂内に入り込んで占拠する「罪」を誘発された「J6事件」を、トランプさんが扇動した話にされてしまった煽動罪の裁判。
民主党エスタブ側は、大統領選でコロナ理由の郵送投票制度を悪用した巨大な選挙不正をやってトランプさんを不正に落選させた後、怒った共和党支持者たちを扇動してJ6事件を引き起こし、トランプさんと支持者たちを犯罪者に仕立て、正邪を逆転させる犯罪行為までやっている。
J6の裁判は、全くの茶番である。その茶番も、2020大統領選の不正も全く報じない米日マスコミも、犯罪組織の一味である。

 

トランプさんが抱える裁判の2つ目は、2020年大統領選の後、トランプが「選挙結果を変えようと、いくつかの州の選管に不当な圧力をかけた犯罪行為」。大統領選で、民主党エスタブ側による巨大な選挙不正が行われたのだから、トランプ前大統領がその不正を暴露するために選管を調べようとしたのは正当な行為だった。
民主党エスタブによる選挙不正(2020と2022中間選挙)は「完全犯罪」になっており、トランプさんは太刀打ちできず、政争に負けて茶番な裁判で犯罪者にされている。選挙不正の指摘は「フェイクニュース」として徹底排除される。

 

トランプさんの裁判の3つ目は、2021年の大統領任期終了後、トランプさんが機密文書の束を返還せず、自宅などに置いたままにしたという機密文書事件。
任期終了後の大統領は歴代、大統領図書館(アーカイブ)が作られるまで、機密を含む文書類を自宅や私設事務所に置いたままにすることが慣例的に認められてきた。トランプさんも、慣例に従っただけなのに、政敵の民主党エスタブから揚げ足取りで犯罪者扱いされている。米日のマスコミは、これが犯罪でなく慣例であることを、知っているくせに全く報じない。
トランプさん陣営は実のところ、検察が起訴時に主張した量よりもはるかに少ない機密文書しか保有していないことが今年5月に判明し、この裁判の進行は無期延期で止まっている。

 

日本は国家的に米国の傀儡だ。米国で、同盟諸国を傀儡として管理しているのはエスタブの頂点に立つ諜報界であり、大統領府でない。米諜報界は、トランプさんを敵視している(諜報界の中には、敵視しつつ強化する隠れ多極派が強いが、彼らも表向きはトランプさん敵視)。
日本で米諜報界との連絡役をしているのは外務省で、彼らは日本の上層部全体が米傀儡であり続けるよう監視も担当している(宮内庁長官が歴代外務省出身であることとか)。日本の米駐在マスコミは、直接米国を取材するのは二の次で、駐米日本大使館がブリーフする解説をそのまま報じねばならない。
日本外務省が、トランプさんについて事実を言うことはない。これにより、マスコミとその受信者(全国民)が米傀儡として維持される。

 

トランプさん陣営では、トランプさん自身のほか、顧問であるスティーブ・バノンさんと、ピーター・ナバロ(ナヴァロ)さんも、民主党主導の米議会のJ6調査委員会の証人喚問に応じなかった「罪」で、ナバロさんはすでに投獄され、バノンさんも7月1日に収監される。
J6事件は、民主党エスタブが自分たちの選挙不正を隠すためにトランプさん側を引っ掛けた謀略であり、調査委員会もトランプさん攻撃を目的としている。バノンさんもナバロさんも、証人喚問に応じても応じなくても、攻撃・投獄される流れだった。
トランプさん陣営陣営全体に対するこの攻撃は、トランプさん支持者たちの団結を強める(隠れ多極主義的な)効果をもたらす。

 

トランプさんは、民主党エスタブ側から潰されるほど強くなり、人気が増している。バイデンや民主党は、謀略をやるほど不人気になっている。予想される2人の得票差はすでに、選挙不正によって勝敗を改竄できる上限と思われる10%をはるかに超えている。
11月の大統領選はトランプさんの勝ちになる可能性が高い。権力や覇権を是が非でも維持したい民主党エスタブ側が、驚くべき策略をやって選挙結果をねじ曲げる可能性はあるが。もしくはわざと戦争や内戦を起こして選挙自体を実施不可能にして、ゼレンスキーウクライナ大統領みたいに政権に居座るか。

 

トランプさんが当選・就任できたら、ニッキー・ヘイリーさんを国務長官あたりに就けるかもしれない。ヘイリーさんは、共和党内で最後まで立候補を取り下げずにトランプと戦い続けた候補だ。
ヘイリーさんは5月23日に立候補を取り下げ、トランプさん支持を宣言した。するとトランプさんは5月25日に、ヘイリーを自陣営に入れて何らかの要職につける考えを表明して「われわれの考え方は似ている」と評価した。

 

その後、ヘイリーさんは5月30日にイスラエルを訪問し「(トランプさんの)米国は、イスラエルを徹頭徹尾、全力で支援支持する」と宣言した。イスラエルは、トランプさんが最も重視している同盟相手だ。
イスラエル(ユダヤ人)は米政界を牛耳っている。バイデン政権や民主党は、党内左派に引きずられ、イスラエル批判を強めている。伝統的に民主党支持だったユダヤ人がトランプ支持に鞍替えしたら、トランプさんの勝算がぐんと強まる。

 

トランプさんは、イスラエル取り込み策の重要任務をヘイリーさんに任せた。やはりヘイリーさんは最初から、トランプさんに「敵として振る舞い、軍産好みの好戦的なことを言い続けて共和党内の反トランプさん派(旧軍産、エスタブ系)を引きつけ、軍産系が他の候補を支持して結集しないようにしてくれ」と頼まれて今回の大統領選に立候補した可能性が強い。彼女は、以前のトランプ政権の国連大使で、もともと猛烈なタカ派だ。
反トランプさん派は結集できず、共和党候補はトランプさんだけに絞られた。ヘイリーさんはトランプ陣営に戻った。すべてシナリオ通りだろう。そしてイスラエル訪問。トランプさんが当選就任したら、彼女が国務長官になる可能性が高い。
パレスチナ国家抜きの、イスラエルとサウジの和合仲裁をがんばる。そして、欧州など同盟諸国に対しては、とても厳しいことを言うだろう。欧米間の分裂が進む。予定通り。

 

プーチン露大統領は、米大統領がトランプさんになることを望んでいない。トランプさんが返り咲き、プーチンさんとの劇的な和解を望んだら、米国側と非米側との恒久対立が終わってしまう。恒久対立が、ロシアを中国インドと結束させ、ロシアと非米側を強化する。恒久対立を壊しかねないトランプさんを、プーチンさんは歓迎しない。
ヘイリーさんはロシアを敵視している。中露イラン全部を敵視すべきだと言っている。2期目のトランプさんは、親露を希求した1期目と異なり、ネオコン的な中露イラン全部敵視策をとるかもしれない。それならプーチンさんも安心できる。そして、トランプさん返り咲きの可能性が増す。