ブルガリアの話です。
1968~1989年の21年間に渡って、この信じられない税目”独身税”が実際に導入されていました。ブルガリアで。
当時出生率の低迷に頭を悩ませていたブルガリア政府は、どうにかこうにか婚姻率を増やして出生率を上げようとした模様。
で、いきついたのが独身である人の税負担を上げること。
独身の個人に対し、その人の稼労収入(給料とか)の5%~10%に相当する金額を、税として重荷したのが独身税です。税率高っ
この話のオチは、結局出生率は上がらず(むしろ下がった、導入前2.18 %から 廃案直前1.86%)、法律自体にも反感が募っていたので廃案となったというところです。
結婚前の若い衆の税負担が増える⇒
結婚資金の貯蓄ができない⇒
婚姻率が上がらない⇒
結果出生率も上がらない⇒
政策目的不達成
筆者は懲罰的な課税は大嫌いです。
税制は、国の政策を強く反映します。
所得税制は、国が個人にどんな経済活動をとって欲しいかを強く反映します。
例えば:
金利を上げたけど家を買って欲しいから、住宅ローン控除制度導入
タンス預金を市場に出したいから、NISA(非課税の口座)誕生
等々。
で、その政策はインセンティブ型であるべきで、懲罰的であってはいけないと強く信じています。
上にあげた2つの例はインセンティブ型ですよね。
住宅ローン組まなくても別に損はしない。
NISA持たなくても別に損はしない。
でもそれぞれ、参加したら税的に恩恵が受けられるよと。
参加したら得をするので、インセンティブです。
参加しなくても別にいいんです。
税金の意味について、税金は納税者と非納税者の等価交換であるべきだという考え方があります。 何らかの利益を得たら、お返しに納税するということです。
何の利益も与えていないのに税を重荷するのは、租税の原則に反します。懲罰的課税は、罰金のような立て付けになってしまいます。租税として導入する根拠がないのです。
このブルガリアの政策、
租税の原則に反することなく税制に反映させたかったのであれば、
「結婚したら何かしらの税控除(又は低減税率)の対象となる」
とした方が良かったのではと思います。
*****
税金の根拠を深く議論する際に、大きく2つの派閥があります。
税金を徴収する権利の源、根拠はなんなんだと。
一つは”利益説派”、もう一つは”能力説派”です。その話はまた後日。
*****
写真は、ブルガリアの伝統的な花嫁化粧。
う、うーん。。。。