ある風の強い日、竜巻も太陽の黒点も、大暴れに暴れた。
そのせいで、空中にところ狭しとひしめいていた電波が、所どころで、毛くずのように絡まった。
記録するようになってから初めての事態だそうだ。
スマホの画面に、アッカンベーの顔が出てきた。
裸の女性が足の爪を切っている姿や、有名大学でこれから行われる入試の問題もスマホ画面に現れた。
「空の星が海の中に入り、海の魚が星のように空に浮かぶことは絶対にありません。安心してください」
という気象庁の説明が、何万台ものドローンのスピーカーを通して発せられた。
また別の、「どう説明していいかわかりませんが、国民のみなさん決して驚かないでください」という呼びかけも、空からガンガン降ってきた。
どうせそんなことだろう。ぼくは自宅のソファーでその大音響を聞きながら、コーヒーを飲んだ。
そしてお茶漬けを食べた。デザートは何にしようか?