ドラムセットとミキシング | 気ままに音楽

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ドラムは一つの楽器とはいえ、いくつものパーツを個別に処理し、さらにそれらをまとめて他の楽器とも上手く共存させなければならない。そう考えると、ミックスでは一番手間の掛かる楽器といえる。それにレコーディングの質がもろに反映されるのも厄介な点だ。

1週間ぶりの更新ということもあって、今日は少し張り切っていこう。ただ基本中の基本であるEQやコンプは他にも書いている方が沢山いるはずなので、もうちょっと先のことについて書いてみようと思う。

奥行き
ミックス中のドラムの奥行きのほとんどは音量バランスとパンニングで決まる、と私は思う。コンプやリバーブは二の次。私自身、ドラムに奥行きを与えるためにリバーブを使うことは滅多になく、スペース(空気感)の調整やオケと馴染ませることを目的としている。

パンニングに関していうと、ハットやフロアタムを右に振り切った場合、ドラムセットはどうしても前に出たような印象を受ける。逆に左右のパンの幅を狭くすると、もっと奥の遠くから鳴らすことができる。これは遠近法みたいなもので、近ければ広い、遠ければ狭い、といった具合だ。これに音量調整を加えることで、この遠近法が”補助”され、ミックスの中での位置はある程度決まる。

この遠近法?に逆らった例をあげると、(他の楽器と比べて)ドラムの音が小さいのにタムやシンバルが左右に大きく振ってある。逆にドラムがうるさいのに全部中央付近から鳴っている、など。私はこういうミックスに違和感というか、矛盾を感じる。(もしかしたらそう感じるのはドラマーだけかもしれないw)因みにダンスやEDMは全くの例外。

ということで基本的に、
ドラムを奥にしまいたい時は「音量小さめ+パンニングの幅を若干狭くする」
ドラムを前に出したい時は「音量大きめ+パンニングは大振り」
となる。
(勿論ドラマー視点ならハットは左でフロアは右、オーディエンス視点なら逆。)

と、色々とこだわりを語っている私だが、実は上記のことをガン無視して全部LCRで済ませることも結構あるw

バスコンプ
ドラムセットにバスコンプは必須。しかしドラムのようなダイナミクスの豊かな楽器にバスコンプをかけると、簡単にバランスが崩れてしまうから注意が必要だ。
なぜなら、キックやスネアやタムを叩いた時のピークがO.H.やシンバル類のピークより大きいのは当前で、バスコンプを強くかけた場合、キックとスネアだけベタぁ~っと平坦になり、シンバルの鳴りばかりが持ち上げられて、無駄にうるさくなるから。更にダイナミクスが失われたり、ゴーストノートなどもうるさくなってしまうので注意。つまりフェーダーワークやらなんやらで作ったバランスだけでなく、演奏のニュアンス自体も大幅に変えてしまうことになる。

解決法として、予めバスにコンプやEQを掛けて、逆算してミックスをすることもできる。これは不必要な処理をしてしまう可能性が極端に減るので、ドラム以外でも試してみる価値はある。それと私はあまりやらないが、O.H.やシンバル類だけを他のバスに送るという方法もよく見られる。
しかし、バスコンプは基本的に空気感の操作や馴染ませ程度に考えておいた方がいい。

レコーディングとリバーブ
自分はドラムのリバーブは最低2種類掛ける。スネアにプレートは定番として、ドラムバス全体にも掛ける。キックはリバーブのターゲットから外すという人も多いが、私は必ずドラムバス全体にうっすらとリバーブを掛けるようにしている。

あと、ドラムやヴォーカルのレコーディングでよくある間違いが、吸音材を使い過ぎるということ。実は録音時の部屋の残響は前段のリバーブの役割のようなもので、この残響ありきで後段のリバーブを設定するのが基本、というかそのほうがより美しく自然な空間表現ができると思っている。

つまりリバーブ云々の前に、まずはレコーディングの質が重要!
安い環境で録ったドラムは商売を目的とした音楽制作ではほとんど使い物にならないが現状で、世の中はサンプルリプレイスメントで溢れかえっている。自分の演奏や生っぽさを大切にしたければ、まずはマイクなり、音響なり、録音環境に投資するのが基本。

ディレイ
ドラムにディレイ?と思うかもしれないが、これが意外なほどに有効だったりする。特にステージで演奏されている感覚などを表現したい場合に使える。できればバスに掛けてテンポとシンクロさせたほうがいい。タイミングを少しズラすことでグルーヴやフィールを強化することもできるけど、私はこれを反則とみなしているw グルーヴはやっぱりドラミング自体で勝負しなきゃ。

補正
マスタリングでドラムだけを”狭く”したい時にはMS機能のついたEQが大いに役立つ。
ソースによって全く違うが、例えばMidで低域や6k~12kを少し持ち上げてキックやスネアを強化しつつ、シンバル類も内側に寄せて、Sideから4kや12k~を削って、左右に大きく振られたシンバルやハットを抑える。といった風に使うと、ギターやヴォーカルにあまり大きな影響を与えずにドラムだけを狭くすることができる。(やりすぎ厳禁)

因みに私が好きなブランドはPearl。個人的にドラムセットで一番重要視しているのがタムなんだが、Pearlのタムはダントツに好き。ヘッドは他社製のを使うけどやっぱりPearlのドラムは素晴らしい。