阿部力さんが主演の「Public Toilet」を見た。
2000年の作品なので、今からもう24年も前の映画だ。
Amazonのレビューを見ると、あまり評判がよくなかった。
でも、私は多少の期待を持っていた。
というのも、私は世界のトイレを見るのが好きだからだ。
おわかりいただけるだろうか。
国によって、トイレの文化がある。
タイに行ったときは、入り口におばさんがいて、5バーツ払わないと入れてくれなかった。トイレの中には、横に水を張ったタライのようなものと桶があった。シャワーが付いていたところもある。便器の形も、和式のように丸くなく、ダイヤモンドを長く伸ばしたような形だった。
アメリカのトイレは、ドアの上下が短くて、これ、下から見えるのでは?と思い、足下がゾクゾクした。
韓国のトイレは、入り口に大きなトイレットペーパーケースがあり、個室にはペーパーがなかった。入り口で取って入るのか、と後でわかった。仕方がないから、自分の持っているポケットティッシュを使った。それ以降、ポケットティッシュは多めに持って行っている。
ということで、「トイレ、どこですか」という邦題の「Public Toilet」。
トイレの中から拾われた阿部さんから話は始まる。
もう、そのトイレが、すばらしい。
これが中国のニーハオトイレというものか、と思った。
隣と近いし、壁がない。話でしか聞いたことがなかったので、映像で見られて嬉しい。
しかも、私は阿部力さんの演技力は素晴らしいと思っているので、その彼の中国語が聞けて、幸せ。
中国のトイレの後は、韓国のトイレが出てくる。
これは、日本の簡易トイレと変わらないような感じ。
ドアを開けるとKOREAと書かれていたが、そうなのか?
NYのトイレも出てくる。やはりドアが短い。押して開けば誰もいないと言うこと。
町並みも、NYは黄色いタクシーが列をなし、中国は自転車に乗っている人がたくさんいる。(今は、電動バイクや車が主流らしい。)
インドも出てくる。インドは行ったことがないので、これがガンジス川か、と思いながら見ていた。多くの人が沐浴をしていた。
登場人物の多くの人が病にかかり、阿部さんを始め、皆、薬を探しに行く。
永遠の命を求めるかのように。
それでも人は死んでしまうこともある。
トイレの水が海とつながっているように、命も流れていく。
ファンタジー要素も強いけれど、監督は、これを取りたい思いがあったんだな、というのは伝わった。
登場人物が多くて、出てくる国も多くて、話がまとまっていない感じがするのが、☆マイナスひとつかな。
阿部さんの泳ぐ水は、もう少しきれいに撮ってほしかった。
敢えて汚さを出して環境汚染と結びつけたのかもしれないけれど、絵的に美しくない。
タコと蟹の話もよくわからない。
主張したいことも、メッセージ性もたくさん合ったのだろうと思う。
生命のこと、友情、環境破壊など。でも、少し多すぎた気もする。
20年前か、と思ってこの映画を見ると、どの国も20数年前に較べたら下水システムも良くなっているはず。
チョ・インソンやチャン・ヒョク目当てに見ると、確かに出番は少な石、キャラクターとしても少し弱い気がするけれど、町並みやトイレや映像や飛び交ういろいろな言語を味わいながら見ると、興味深い映画でした。