古い友人に東大の工学博士がいた。
ヤマハ施設でマリーナの責任者をしていた頃からの付き合いで、マリーナの第一号会員だった。
当時80代半ばで華道に絵画、ピアノに社交ダンスと趣味は多彩、地下に小さな工房を持ち、発明が得意でその収益でこの耐震装置が完全な別荘を作ったのだ。
本棚には難しそうな工学の本や美術の本がどっさり並んでいた。
何年も1人暮らしだが、震災に備えて10年以上腐らないと言うデンマークの缶詰など備蓄食量もどっさり。
阪神大震災で周囲の家は全て崩壊したのだが、耐震構造の博士の本宅だけ健在だった。
やっと連絡が付いて、マリーナから神戸港まで船で助けに行こうとしたのだが、地下室の水と食料は十分だから大丈夫だと言う。
別荘に来る度に呼ばれ、食事しながらよく話をしていた。
釣りの付き合いに山菜がり、寿司屋にもよく出かけた。
戦時中は学徒動員され、銃の設計製造にも携わっていたようだ。
女性と付き合ったことが一度もなく、30歳でお見合いして結婚したのだが、3日目に・・
「しまった」と・・大後悔時代に突入。
不幸な結婚生活を送ったと言うのだが子供は2人作っている。
やがて晩年離婚し、再婚目指して60過ぎから猛勉強したと言う。
女心をいかにして掴むか、
野人にお特訓してくれたのだ。
「君は 女心がまったくわかっていない」
「そんなもん・・いらんもん・・オナゴも」
「僕のように、人生を棒に振ってはいかん」
「・・・ ・・ 」
「僕はしっかり勉強したからわかるが・・
女心を掴むのは 焼きイモだ 」
社交ダンスでのプレゼント交換で焼き芋を持参、それが最も人気殺到したと言うのだ。
「う~~ん イモ ねえ~」
「しっかりと焼き芋の研究をしなさい」
「イモの研究って・・何の本読んで」
「婦人公論だよ 君もしっかり読みなさい 読んでいないから女心がわからないんだ」
「・・ 婦人公論にそう書いてた」
「いや これは長年の研究の成果だ」
そう言って秘密の扉を開くと、そこには婦人公論が・・
山のようにあった
香港に女性の知人が出来たらしく、博士は焼き芋持参で何度か通ったのだが・・
しかし・・めげずに 言った
「婦人公論の読む量がまだ足りなかった」
婦人公論・・いまだに読んでいないが・・
マリンビレッジでは、たしかに
まむし頭が塩釜で作る焼き芋に人気は集中している。
手作りのオゾン消臭装置
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脳味噌の重さ 博士の名言
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博士の火葬代10万円預かる
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