落ちた実を地表に放っておけばやがて種になるが、猪や他の動物にも食われてしまう。
やがて、果肉ごと土に埋めておけば臭気は分解されて抜けることにリスは気づいた。
クルミやトチの木も銀杏を見習おうとしたが、どうしてもあの臭気を創れなかった。
種を鳥に運ばせるわけではないから今も果肉は甘くもない。
トチは独特のアクで何とか難儀を切り抜けようとドングリ族の中では今も一番頑張っているほうだが、銀杏の知恵には到底及ばない。
果肉は臭いだけでなくかぶれる。
人に近い猿も、食えば唇が「タラコ」になってしまう。何とも念の入ったやり方だ。
銀杏の果肉エキススプレーを果樹の「猿除け」に使ってみれば面白いだろう。
野人は果肉にかぶれないから、いつも鼻だけつまんで素手で握り潰して種だけ持ち帰る。
わかったかな・・・だから、クルミやトチや他のドングリ類は相変わらず猪などに食われ続け、今も「銀杏」にだけは頭が上がらないのだ。
そして年季の入った銀杏の知恵は自らに最大の恵みをもたらした。
果たしてそれは・・
4に続く