内臓を強くする「剛式呼吸法」 | 野人エッセイす

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呼吸法は色々ある。太極拳の呼吸法からヨガや健康法など、腹式だ胸式だと多彩だが、呼吸法は思ったよりも効くものだ。やらないよりはやったほうが良い。マラソンランナーも自分の体のリズムに合った呼吸法を身につけている。一般的には腹式のほうが良いように言われているのだが、野人はあまり感じないからどちらでも良いと思っている。野人の呼吸法は、空手の呼吸法を元に、腕の動き、力、気の配分など独自にあみ出した「剛式呼吸法」だ。大学の時も役に立たないと感じた自派の空手の型などまったくやらなかった。たとえ他流派でも優れた技は取り入れ、それに独自の多彩な技も加えた一撃悶絶の「水流空手」だ。部員70人の中でも体力は群を抜いていたが、不精者ゆえ動くのが嫌いなのだ。九州で生まれた剣法「薩摩示現流」に似た空手だった。試合では使えなかったが、合宿などの組み手で軽く出すだけで皆「悶絶」して倒れてしまう。拳はあまり使わない。ちなみに野人は当時は65キロだったが、体が丈夫だったせいか、何を喰らっても一度もダウンしたことがない。「悶絶」の苦しみを体験する為に、全員正座のまま師範にストマックに強烈な「蹴り」を入れられたことがあった。全員前のめりに倒れて悶絶、中にはゲロ吐く男もいた。こちらは最後だったが、一発喰らって「知らん振り」していたら、二発目を喰らった、痛かったがそれでも我慢していたら師範は三発目を入れようとする。「何で俺だけ~」あまりにも不条理だ。つい後ろにバタン!と大の字に倒れたのがまずかった。師範は「皆前に倒れるのに何でお前だけ後ろに倒れるのよ~!わざとらしい」とうなだれていた。前に倒れて「痛、痛、痛~い!」と叫べば良かった。しかし、構えれば問題ないが、不意打ちを腹に受けるとさすがに効くものだ。初期のカンフー映画で千葉真一の「少林寺拳法」があったが、腹に一撃を受けると悶絶しながら「カぁ~!」と息を吐き出し倒れずに構えていたシーンを思い出す。息を吸い込めば間違いなく悶絶して倒れてしまう。「息を思い切り吐き出す」と言うのはそのような効果があり、天国と地獄の差がある。普通は我慢出来ずに吸ってしまう。これ以上吐けないくらい吐き出し、思い切り力を入れて腹筋で内臓をを締めると、痛みと苦しみがス~っと薄らいでいくのがわかる。普段でもこの練習をやるだけでランニングなどの持久力もつく。水流空手は腹筋だけでなく内臓も徹底的に鍛える。体力の要である腰と腹筋と内臓に力をみなぎらせれば、蹴りやパンチ力などの破壊力も増す。繰り出す時は力を抜いてスピード重視、当たる瞬間だけ全身が「鋼」になれば良いのだ。テレビを見ていたらボクシング世界チャンピオンの長谷川穂積が独特のシャドーボクシングを公開していた。普通は拳をしっかりと握ってやるのだが、彼は指をダランと幽霊みたいに垂らしたまま軽くやっていた。当たる瞬間に指がムチのようにしなりスナップが効いていた。世界を制し、防衛を続ける彼のスピードとパンチ力が物理的に納得出来た。ボクシングは空手と異なり長丁場だが、攻撃の原理は同じなのだ。

野人流剛式呼吸法はたった一度やるだけで汗が滲む。一回が半端ではないのだ。だから3回しかやらない。それに汗をかくのは好きではない。一つ言える事は「あれ以上のパワーと気の集中」は他にはない。内臓の弱い人にはおすすめなのだが難しい。一度試して見るといい。細く長く搾り出すように息を吐き続け、完全に吐き終わったままこん身の力を込める。苦しくても息を止め続ける。一回30秒で汗がにじまなければ「失敗」だ。優勝した県の水泳大会もその呼吸法だけで望んだ。持久力だけでなく瞬発力がつく呼吸法だ。今はたまにしかやらないのだが、確実に「腹のぜい肉」もとれる(笑)。