躁うつ病だと診断されたところまでお話したかと思います。

こんばんは。藍です。

 

藍は自分の病気のことは誰よりも自分が理解していたし、自分の飲んでいる薬も、

どこに作用してどんな効果が出るのかちゃんと調べていました。

だって自分のことなんだから、誰よりも自分が症状を知ってなきゃいけない。

 

でもいくら薬を飲んでも藍の状態は悪化するばかりでよくならず、

頭の中は常に自殺願望でいっぱい。

ネットでメンヘラの人たちと交流を持って、

リストカットを覚えてからカッターでリストカットするようになりました。

 

大体リスカするのは夜中。

大学に行けない時、睡眠薬が全然効かない時、なんかわからないけど。

藍は右利きなので、左手首を切りました。

最初のリスカはホントに可愛いカッターの刃でシャっと引っ掻いたような傷。

 

リスカって面白いんですよね。

なぜだかクセになる。

多分、普通の、健常者の思考じゃ考えられないだろうし、

健常者が一回やっても癖にはならないだろうけど、

病んでる人がやると一回でクセになる。

 

一回やったリスカ、大したことないじゃんと思ってたけど、

二回目、三回目と回数を重ねていくごとにリスカすることが

とても重要な儀式のように感じられてくる。

 

うつ状態で頭の中は自殺まみれ。

自分なんて生きてても生きてなくても誰も困らないんじゃない?

何もする気力がおきない、誰とも話したくない。

 

リストカットすると当然ですが血が出ます。

程度にもよりますが、血が溢れて腕に流れてきます。

血ってね、すごいあったかいんですよ。

知ってましたか?

藍はそれで自分が生きてることを確かめてた。

恐らく他のリストカッターの人々も同じだと思う。

 

生きる意味がわからない、でもリスカすることで生きてることを実感できる。

リスカだけが、生きてる証拠を与えてくれる。

 

だからリスカがやめられない。

 

藍は毎日毎晩手首を切りました。

もうカッターなんて使わない、カミソリでザクザク切りまくってました。

ティッシュで押さえてゴミ箱に捨てる、ゴミ箱に向かってリスカする、

だからゴミ箱は血だらけ。

カーペットも血まみれ。

 

それでも一カ月くらいは両親にばれなかったなぁ・・・。

部屋に入ってこなかったから。

 

 

その当時、藍には大学で気になる人がいた。

藍のゼミの友人の友人。

きっちゃんって藍が勝手にあだなをつけて呼んでて、

きっちゃんとはメールでやりとりしてたくらい。

 

藍は本当に好きな人の前では相当うぶい。

でもわかりやすい態度も取る。

そして藍は自分が好きな人をどうやったら振り向かせられるか知ってた。

 

病気の話とリストカットの話をした。

一番の弱点であり武器だ。

 

たびたび彼は京都の山奥の大学から、藍の自宅まで藍を送り届けてくれた。

当時体調が悪かったとき、大勢の講義のときに震えが止まらなかったりした時とか。

彼が藍をいたわってくれた。

 

本当は彼のことを好きだったんだろうなっていう女の子がいた。

藍はその子とも仲良しだった。

最初、その子ときっちゃんが仲良かった。

でも藍は容赦なく奪った形になる。

その女の子は何も言わなかったけど、好きだったのは明白だった。

藍ときっちゃんが急接近しても、藍はその女の子と友達関係は続けてた。

彼女の心の中は複雑だったに違いない。

でも藍は稀にそんな残酷なことをする。

 

ある日、忘れもしない10月23日のこと。

藍はだいぶ深くリスカしてしまった。

多分静脈いったんだと思う。

 

それまでもかなり激しいリスカはしていたけれど、

今回は血は止まらないし流血の量が違う。

頭もくらくらする。

きっちゃんにメールした。

きっちゃんは朝の4時にうちまで車できてくれた。

藍は初めて両親に黙って家出した。

 

腕はハンカチで強くしばっておいたけど、血は止まらなかった。

そのまま車で大学まで行って、駐車場で色んな話をした。

藍の病気の今までのこと全部。

そのうち明るくなって、メールが一件入ってきた。

おかーさんからだった。

 

どんな内容かはもう詳細には覚えてないけど、

「こんな時、本当はおかあさんはすぐにでもあなたの傍に行ってあげるべきなんだろうけど」

そんなことが書かれていた。

おかーさんはその日初めて藍がリスカをしていたのを知ったんだ。

あのゴミ箱を見たんだ。

 

一日長かった。

家に帰ったら、おかーさんは特別何を言うでもなかったけど、机の上に手紙が置いてあった。

 

藍は遺書を机の中に隠してあった。

いつでも死んでいいように。

どこで死んでも構わないように。

友人に、両親に、兄弟に。

大切な人に向けて遺書を残してあった。

 

それも、おかーさんは見つけたようだった。

手紙の中にそんな風なことが書いてあった。

もう手紙の内容は忘れたけど、とにかくこれで両親兄弟、みんな藍がリスカしてるってことがわかったわけだ。

 

だからといってリスカが止まるわけがない。

でも変わったことが一つある。

藍が深くリスカした時は、おとーさんが病院に連れてってくれて、縫ってもらうということ。

だから藍の手首は左がもう切る場所がなくなったら右、という感じで、

両手首合わせて縫い跡が100以上ある。

 

自慢にならない・・・。

 

大学の友人も傷跡に気づいていたけど何も言わなかった。

みんな優しい。

きっちゃんも何も言わない。

ただ、藍の今日の状態がどうなのか見守ってるだけ。

 

好きな人のためにやめようとは思えなかった。

リスカはあの頃、藍の唯一の存在意義を確かめる手段だったから。