ナレーション「南都美美。新卒の電信プロレスのWeb記者。プロレスとカードゲームが
好きで、格闘技のジャーナリストになった、女の子。好物はオヤジが作っている、
南都美人に地元盛岡のつまみ。カードゲーム屋のアルバイトでみもりんと知り合う」
南都美美「ジャッカル様が日本のジムにいるとなれば、どこのマスコミも目をつけるものの、
まさか、高校生のときのバイト先のみもりんが、みこいの担任の先生だったとは。
おかげで、いろいろ細かい情報も決めて、編集長に褒められちゃった。さて、
今日の総合格闘技蹴り1、ジャッカル様が解説ということは、なにかしくんでるはず。
派手好きだからジャッカル様は。それに、未恋さんも観客で来ているみたいだし。
まだ、地元の人以外には無名だけど、あの体をみれば、練習生だということは、
格闘技業界のプロなら、私でもわかる。絶対になにか仕込んでいるはずだわ」
愛美アナ「さて、みなさん、お待たせいたしました。ケリワンのチャンピョンへの挑戦者
を決める、ランキング1位のソムキッカと、対戦相手が恐れなかなかカードが決まらなか
った6位のモバイル・アリ。勝った方がクロアチアのマルコチャンピョンへの
挑戦権が得られる。女子キックボクシングの第一人者のソムキッドにボクシングが
メインスタイルの胸に挟んだガラケーでとどめの姿を動画撮影するという、
ニヒルなパフォーマンスが得意な、モバイル・アリ、あのモハメド・アリの
孫娘で、ボクシング金メダリスト。新人のときに、ジャッカル様の引退試合に
指名された今期待の成長株。解説のジャッカル様、この試合はどう見ます」
ジャッカル「ソムキッカのキックの破壊力は、タイ仕込み、チャンピョンを上回るが、
あたらなければどうということはない、蝶のように舞う、アリのスタイルを継承している、
モバイル・アリが勝つわ」
アリ「ワンラウンドは、様子をみるとして、ツーラウンドだ」
愛美「あいかわらずのパフォーマンス、しかし、観客は勝負はリングで決めるもの
だと、冷静な表情。観客の目も肥えてきたか」
ジャッカル「まあ、声優がリングで花束を贈呈する時代だ、
昔のよっぱらいのたまり場とも違ってくるだろう」
愛美「さて、1ラウンドはじまりました。軽い足取りで、アリ、ジャブを
飛ばしていきます。もちろん、ソムキッカも簡単には当てさせない、
しかし、大振りでけりを入れていきます」
未恋「あんな、キックまともにくらったら、気絶しちゃいそう。
当たらなければって師匠はいうけど、やっぱり恐い、プロのリング」
愛美「さて、1ラウンド終了。お互い一発もあててないのに、
みごたえありましたね」
ジャッカル「深追いはしてないけど、ジャブで威嚇して、大振りも
してるし、けして、逃げてるだけじゃない」
愛美「わかりました。そして、予告宣言の第二ラウンド。
さて、両者余裕の表情だが」
アリ「見きった」
愛美「どういう意味ですか、ジャッカル様」
ジャッカル「百聞は一見にしかず、まあ、みてなさい」
愛美「今度は、軽いジャブとはいえ、アリが避けた直後に
一発いれてますね」
ジャッカル「明日のジョーのホセが得意とした、見切りです、
最低限の動きでよけられるのですぐに攻撃に入れる」
愛美「なるほど、そして、牛の一突き決まったー、ミゾオチ一突き
パンチ、アリの得意技、これが決まるとしばらく動きがにぶくなると評判の。
アリ選手、容赦なく叩きます。二度目のダウン、次倒れればTKOでしょう」
アリ「イッツ、ショータイム、敗北者は子供よりも早く眠ってしまう、
夜7時7分。モバイルで撮影しますよ、恥ずかしい敗北シーンをね」
愛美「おっと、胸に挟んで落とさなかったら、ガラケーを取り出した。
すばやく、回り込んで。おーーーっと、これは、ストリートファイターの
ザンギエフの得意技、スクリューパイルドライバー、こんな大技を取得してたとは、
ガラケーは胸に挟みなおして、撮影してる、決まったーKOです」
アリ「アナウンス室、動画転送するからよろしくね」
愛美「動画再生します。うーん、回転が速すぎてよくわからない」
ジャッカル「スプラッシュマウンテンや、裏投げなどで、高く持ち上げられた
場合、自分の位置感覚がなくなって、子供なら反射的に足をバタバタさせられるような
感覚だわ。」
愛美「ありがとうございます。さて勝利インタビューです」
(中略)
ジャッカル「さて、久しぶりね、アリ、今日の試合楽しめた」
アリ「練習にもならなかったけど、ビジネスとしては、30分のところ
6分で終わったから、時給換算すれば、おいしい仕事ね」
ジャッカル「そう、今朝河川敷で見た私の弟子は、どうだ」
アリ「ああ、あれは、おもしろそうな娘だ」
未恋(え、私のこと見てたの)
美美「これは、意味深な展開、まさか指名するのでは」
愛美「これで、6月にチャンピョンへの挑戦権を得ましたね、
4位の選手にチャンピョンが負けなければの話ですが」
アリ「そう、まだ、結構時間がある、試合感を鈍らせないためにも、
優秀な若手と勝敗はそれほど深刻にならない、真剣勝負をしたい。
今日日本の女子で面白い新人をみつけた、
その女子の名前は、ミコイ・ササキ」
未恋「ジャッカル様、怖気ついたわけじゃないですけど、私キックボクシングとか、
総合格闘技とか、想定してなかったです」
ジャッカル「師匠がすなる異種格闘技、弟子がやってもいいんじゃね」
未恋「いきなり、デビュー戦とは」
アリ「孤児達のために戦う、立派な態度だ、私のおじいさんも、
アメリカの黒人や下層を守るために、公民権運動とベトナム反戦で戦った。
私の挑戦から逃げるとなると、弱虫と試合のオファーも減るだろうな、
勝敗が全てでないというプロレスといえども。なに、脳震盪をおこさない程度の
手加減はしてやるが、お前がダウンする姿をガラケーに収めて、
孤児院に転送してやるよ」
未恋「そうはさせないわ、孤児達は私の活躍に夢をみてるの、
無様な姿は見せられないわ、たとえ意識を失っても
武蔵坊弁慶のように、立ったまま意識を失うから」
アリ「その言葉忘れるなよ。ジャッカル様、試合決定です。30分1本勝負」
ジャッカル「30分試合するなら、ロッキーの映画のセコンドのように
その1000倍の実技訓練の時間が最低限必要。3月31日が試合日だから、
60日で、500時間。毎日10時間近くのトレーニングを行うことになるわ。
勝ち負けはキャリアの差もあり大きな問題ではないけど、
いい試合をしなかったら、無様な姿を見せつけることになるから、
女の意地見せる覚悟は」
未恋「あります、ど根性でやんす」