『D、リンはあんな風に言ったけど、あの劇団のトップって言ったら、そりゃ、オレたちと同じぐらい忙しくて…多分、期待出来ない。』
Eの話にボクは少し落ち込んだ。
今はEとリンちゃんの子どものために余裕あるスケジュールだけど…前はとても忙しかった。
寝る暇ないぐらい。
『けど…これだけ有名な人なら、芸名と本名で調べられる事はある。』
そう言って携帯を出したE。
本当に頼りになる。
日本語が読めないボクの代わりに実家があっただろう場所を突き止めてくれた。
本人は居なくても、まだ両親が住んでいる可能性がある。
『どの辺りかはわかるけど、家そのものはわからない。探るには、まずお前が誰かバレないような平日の昼間に行け。』
Eは色々と作戦を練ってくれた。
簡単なやり取りが出来るようにメモも用意してくれた。
Eの言う通りにしたら…
「ああ…ゆかりちゃんね!あっ、今は百々華ちゃんだ。凄いべっぴんさんでしょ?
小さい頃から可愛くて…。
ほら、この先の坂の上の緑の屋根。あのお屋敷だよ。でも、今は居ないと思うよ。見かけないからね…。」
凄い!
わかった!
Eの言う通りだったよ!
『有名になると故郷は大騒ぎだ。都会だって同じ。町が産んだスターだからみんな話したいはず。近所の昔からやっていそうなお店のおばさんに聞くんだ。』
Eの言う通り。
5件目でヒット。
坂の上の緑の屋根!
「アイタイ。アワセテ、クダサイ。」
インターフォンに出てきた人にそう頼んだけど、
「申しわけありません。
お嬢さまはここにはいらっしゃいません。」
「ドコ?」
「申し上げられません。」
「エッ、ナニ?」
「申し上げられません。」
「モウシアゲ???」
なんの事だかさっぱりで立ち尽くすボクに
「お引き取りください。」
言葉の意味がわからないボクは…
帰るしかなかった。
「ニホンゴ、オシエテ!」
『それより、曲を作れ。あと、取材もある。』
そうだ。
やりたいことだけじゃなく、やるべき事もある。
Eが休む間、ボクはソロを出す。
そうだ!
『日本語で作る。』
『やれるなら、やってみろ!』
『出来るかな?』
『手伝うか?』
「オネガイ!」
兄たちとEとリンちゃんに頼んで、仕事しつつ、普段の会話を日本語にして学ぶ。
英語もそうやって覚えた。
日常会話の聞き取りなら自信があったけど…
「モウシアゲ…ナニ?」
「えっ?」
「オヒキトリ…トリ?」
その度にリンちゃんとEは大笑いするけど、それでもしつこく聞いた。
相手に対して言葉が代わる。
年上の人、偉い人、下の人、女の人、男の人、厄介な言語だった。
けど…次の休みまでに少しでも話せるようになって、もう一度行こうと思った。
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オヒキトリってトリ?( *´艸`)
D君に言わせたかった。
絶対、可愛い!(ノ≧▽≦)ノ