車体課税は廃止するのが筋 | 武藤貴也オフィシャルブログ「私には、守りたい日本がある。」Powered by Ameba

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国家主権、国家の尊厳と誇りを取り戻す挑戦!品格と優しさ、初志貫徹の気概を持って(滋賀四区衆議院議員武藤貴也のブログ)

 今、自民党内で「自動車取得税」と「自動車重量税」の廃止についての議論を行っている。私も数回に渡り自民党の税制調査会に出席し、この議論に参加させて頂いた。税制改正の重要な局面なので、会議でも発言したが、ここでも私の意見を書いておく。

 結論から言って、私の考えはこの二税については廃止すべきという立場を取るが、まず各界の意見を簡単にまとめておく。

 自動車関連諸団体は「日本の車体課税は国際的に重すぎる」「消費税と合わせて二重課税だ」「当分の間の税率と言っておきながら、課税期間が長すぎる」などという理由で、二税の廃止を訴えている。

 一方、地方自治体は「二税が廃止になったら地方税財源が減少する」「道路予算が無くなる」という理由で存続、もしくは廃止の場合は代替税財源を求めている。

 両者の意見が真っ向から対立しているわけだ。

 実は今この議論が盛んに行われるようになった背景には消費税増税がある。1997年4月に消費税率を3%から5%に上げた際には、増税前の駆け込み需要の反動もあって、新車販売台数が前年度比約15%減の332万台まで減少した(101万台減)。従って自動車業界は8%への消費税増税に伴う売上の減少を危惧し、増税前に車体課税を廃止するよう訴えているわけだ。

 加えて、昨年行われた衆議院総選挙で自民党が「政権公約Jファイル2012」で当該税制の見直しを公言していた。自民党の公約には次のようにある。「自動車関係諸税については、国及び地方を通じた関連税制のあり方を総合的に見直します。 安定的な財源の確保、地方財政への配慮の上に、簡素化、負担の軽減及びグリーン化の観点から、税制のあり方及び暫定税率を含む税率のあり方を総合的に見直し、自動車取得税及び自動車重量税について廃止を含め、負担軽減の方向で検討し、消費税率の8%への引上げ時までに結論を出します。」

 公約で車体課税について「総合的に見直す」と公言しておいて、「見直した結果何も変わらなかった」のでは政権交代の意味がないといわれても仕方ない。あるいは自民党が野党時代繰り返し民主党に対して主張した「公約違反」の誹りを免れないであろう。

 さて、この二税について私はやはり廃止しなければならないと考えている。なぜならば、課税目的が変わったからである。もともとこの「自動車取得税」と「自動車重量税」は「道路特定財源」であり、道路の建設・維持・管理のための税財源という名目で、自動車ユーザーに負担を求めて導入された。しかし、2009年「道路特定財源」が「一般財源」にされた。つまり道路の建設・維持・管理に限定されて使われなくなったのである。そうなれば今度は、例えば医療や福祉や教育、あるいは農業などに使う税金負担を自動車ユーザーに求めるのはおかしいという理屈になる。「道路に使う」といって徴収しておいて、いつの間にか使途が変わっていたのでは「詐欺」と言われても仕方がない。従って一般財源化されたのであるから、廃止するのが筋だと私は考える。

 地方六団体はそれに対して「地方の財源が減る」と主張するが、それなら自動車ユーザー以外からの税財源を提案するなり、やはり「道路特定財源」に戻すべきだという主張をするべきだ。それに言及せず、ただただ維持を求めるのは建設的とは言えない。

確かに地方の道路の建設・維持に関する要望が多いのは、私も十分わかっている。道路だけではない、あらゆる要望に十分応えるだけの予算がないことも事実だろう。しかしだからと言って、今のままの自動車ユーザーに負担をかける現税制を維持すべきだというのは筋が通らない。

 一方で仮に「道路特定財源」に戻すとなると、今度はマスコミが「旧態依然とした自民党体質の復活」と報じるのも確かだろう。現に今、維新の会と民主党が「道路特定財源の復活反対」と様々な場面で主張している。しかし、それなら両会派はどのように道路財源を捻出しようというのか。「是々非々で行く建設的な野党」を標榜するのであれば、維新も民主も対案をしっかり出すべきではないか。

私は「道路特定財源」について別段悪い税制度だと思っていない。悪いのは道路建設をめぐる「政官業の癒着」や「利権構造」であって、道路の建設・維持・管理事業そのものは悪ではない。本質的な議論が行われず、「道路特定財源の復活はダメだが道路の予算は必要」という意味のないポピュリズムがまた横行するのを危惧する。

いずれにせよ消費税の増税、並びに経済成長での税収増を目指し、知恵を絞って車体課税については廃止するべきだと私は思っている。

自民党は、あくまでも「国民の利益は何か」という観点で税制改革を進めなければならない。