１１年振りの……

ドラマ「帰国」

長渕剛さんが１１年振りに俳優として帰ってくる…


この日を楽しみにしていた……


放送が始まり……

生瀬勝久さんの語りから、東京駅に入ってくる蒸気機関車…
剛（あえて尊敬と信頼を込めてそう呼ばせてもらう）が降りてきた


喋った……

僕は、初めて剛の「とんぼ」を観たときに戻った……


生家を訪ね……

埃にまみれた祖父、祖母、父、母……

そして、自身の遺影を観て……笑った

そうだよな…

だから、僕はあんたが、長渕剛が好きなんだよ


ひとは、絶望の縁を越えると笑う……

それは経験した者はみんな知っている

例えば、彼女が無理心中をしようと車を崖から転落させて……スローモーションの世界が現実に戻り、生きていたりすると……ひとは笑う

寝ている間に彼女が部屋中ガムテープで目張りして、ガスを流しても、薄れ行く意識の中、窓ガラスを突き破り……血だらけな顔で笑う


そうなんだよ

剛

笑うよな


テレビに突っ込みたくなる……


嬉しくなる


こういう事が劇団員にもわかったらな……


舞台「蟻の街のマリア」でも「車椅子の結婚式」でも……


僕は俳優達に、絶望する場面で笑えと芝居をつける……


しかし……いつもワザとらしく、軽い

無理だな……

理解出来ないんだな……

いつも悔しさがつのった……


今まで……誰ひとりとして……

いや……正確にはたった独り、一度だけ笑えたヤツがいた……


剛と同じ鹿児島県出身で、大の剛ファンで今は劇団を去った朝倉君だ……
彼女は一度だけ、昨年の１２月浅草公演２日目昼の回で笑った…


それ以降、誰ひとり観ていない……


１０月公演では、必ず笑わせてやる……

必ず