映画『キャタピラー』 | 武藤数顕オフィシャルブログ「Myself」Powered by Ameba

映画『キャタピラー』

映画『キャタピラー』……監督若松孝二、主演寺島しのぶ……寺島しのぶさんが主演女優賞である銀熊賞を受賞した作品だ……

いよいよ終戦記念日に公開も決まり……観る事が出来る……

若松さんとの出会いは衝撃的だった……
Rockerで最近は事業仕分けの御意見番としてマスコミを賑わせる内田裕也さん主演の『水のないプール』を高校生の時に観た……それから、若松映画の虜になった………

テレビドラマの世界に足を踏み入れた僕は、『男女七人夏物語』などのプロデューサーの武敬子さんの下、助監督やアシスタントプロデューサーなどをしていた……

そんな時、TBSの編成部長から、「武さんとさんまちゃんで新しい番組を創ってみてよ」……その言葉に僕は……願ってもないチャンスと喜んだ………

そして……武さんと共に、映画『寝取られ壮介』を観に行った………さすが若松孝二監督!!

僕は……何の躊躇も無く……新宿のとあるバーで若松監督に会った……

「何のようだ」……眼鏡の奥の瞳は眼力も鋭く……まるで蛇に睨まれたカエルだった……
「テレビドラマを撮ってもらえませんか」キョトンとする若松監督をよそに、かなりお酒の入っている崔監督が「何言ってんだ……テレビなんか」……僕はカチンときた!!
当時……映画陣は映画を「本編」と呼んだ……それは、テレビドラマに生活の糧を得る為に流出する映画陣への皮肉をこめ…そう呼んだ!!
「テレビドラマは予告でもトレーラーでもありません」真っ直ぐに若松監督の瞳に訴えた……それからテレビドラマのメリットや……etc

帰りぎわ……若松監督は「受けるよ」とその顔をクシャクシャにして微笑んだ……

あれから十数年……
若松監督の『キャタピラー』を観た……
出征した夫が帰国した……しかし、両腕両脚が無く……口もきけない……
その夫は「軍神」と呼ばれ……妻である寺島しのぶさんは介護を余儀無くされ……やがて疲れ果て……戦争とは……国家と個人とは……夫婦とは…家族とは……いろいろな事を投げかける……違うもっと暴力的だ……云うなればハンマーで頭をブッ叩かれるような衝撃だ……

さすが若松孝二!!
その感性は……年を重ねて……ますます研ぎ澄まされている