▼前回の演出家の仕事術は『共通の言語を持つ』ということに書きました。
言い回し・打ち合わせの方法・議事をまとめたメモ・仕事の目的なども含めて、その組織特有のやり方をメンバー全員が共有していくことが必要であり、これらを含めて”共通言語をもつ”という事が大事だと考えています。
▼今日の記事は『省略する言葉〜プロパティ』ということについて考えていきたいと思います。
▼パソコン用語などで、”プロパティ”という単語を耳にします。
このプロパティ、辞書でひくと…
1 財産。所有物。所有権。
2 コンピューターのファイルや周辺装置などの各種の設定や属性に関する情報。
と出てきます。
今回はこの「2」の意味を元に、仕事上で考えるべき”プロパティ”について書いていきます。
▼日本語とは時に曖昧で時に正確なものであると考えています。例えば、「年齢」という言葉を聞いた時に、すぐ思いつくのは『自分の年齢』の方が多いのではないでしょうか。お子さんが居る方ならお子さんの年齢かもしれません。親御さんの年齢を想像する方もいらっしゃると思います。
▼一つの単語、”年齢”という単語だけ聞いても、「誰の年齢」についてなのか定かではありません。”誰の”かも含めると、この”年齢”という単語の意味がより正確に相手に伝わると思います。
▼つまり、自分が当たり前のように考えている言葉でも相手にとっては、違う意味として捉えられる場合があるということなのです。
”誰の” + ”年齢” と考えた場合、”年齢”だけで「より正確」という意味では省略してしまっている格好になります。
▼前回記事で書きました『共通の言語を持つ』という具体例として、こうしたある意味での省略、略語も組織内で認識合わせをしておく必要があると思いますし、特に打ち合わせの場では、省略せずに、冗長だ、と感じても正確に表現した方がかえってわかりやすくなると考えています。
例え冗長になったとしても、ある要素に対して、属性や設定を考えられるだけ考え、メンバー間で共有することは、例えそれが直接仕事で使われないとしても、基礎的な事を考える上において、同じ土台(まったく同じにはなることはありませんが)を構築する一つの手段だと考えています。
細かいところまで組織内で共有することによって、大きく異るイメージを持つことが少なくなります。
▼演出者の仕事でも同じで、例えば、同じ「年齢」でも、役の分「年齢」がありますし、物語によっては◯年前(◯年後)の年齢もあります。
色々な要素を考えていきますと、
”誰の” + ”年齢” + "現在" の値は ◯◯
というのが更に正確な表現になってくると思います。
▼役作りの上でその役のプロパティを考えてみて、設定値を過去、現在、未来に当てはめてみると色々な事が分かってくると思いますし、イメージしやすくなってくると思います。
こうしたことを繰り返す事で役作りの練習になると思いますし、これをすることでpropertyのもう一つの意味である、「財産」や「所有」が役についてできてくると考えています。