▼前回の記事では「思い込みをなくす」という記事を書きました。できるだけ思い込みをなくそうと思ってもどこかである一定の固定観念が発生してしまうものですが…色々な方向からモノを見る、考える、想像することによって、思い込みは減っていくものと考えています。

 

▼さて、今回は「人へのモノの頼み方」という事について書いていきたいと思います。モノの頼み方、オーダーの出し方なのですが…同僚や部下、時には上司にモノをお願いする時があると思います。

また職種が全然違う人にモノを頼む時などなど…

頼んだモノが出来上がってから「あれ?」「思っていたものと違うな」と言うことはないでしょうか?!

 

▼ちょっと場面といいますか…ファミリーレストランなどを想像してみてください。ハンバーグを食べたいと思ったら、メニューを見て、写真を確認し、それを店員さんにオーダーします。

運ばれてきたハンバーグを見て、写真とまったく同じではなくても、イメージしたものとほぼ同じモノが出て来ます。

 

これは何故か。オーダーする側とオーダーされる側が同じ”メニュー”というモノを介して共通の認識を持っているからだと考えています。

 

▼つまり、ハンバーグ、という単語でオーダーしなくても、メニューの写真を指さして、「これ、お願いします」と言えば、店員さんも「ハンバーグですね」と理解し、それを調理の人にオーダーしますので、頼む客側から作る人、オーダーを受ける人、運んでくる人まで、”ハンバーグ”という品物に迷いなく、提供する事ができるのです。

 

▼しかしながら、頼む側と頼んだ側のイメージが違うということがあります。例えば、仕様書を読んで、出来たアプリケーションがエンドユーザーから「ちょっとイメージと違いますね」と言われたり、頼んでおいた資料が大分イメージとかけ離れていたりということがあります。

 

▼これはファミリーレストランの例で言うところの”メニュー”がない、”共通認識”がない、ということではないでしょうか。

 

▼こういった問題をどうしたら解決できるか。私はオーダーする側が「イメージしてもらう」為の方法をとらなければいけないと考えています。

一番手っ取り早いのが、見本を見せる。つまり、ファミリーレストランの例でいうところの”メニュー”を作り、見せる、ということです。

見本があれば、大きくイメージと異ることは少なくなります。

 

▼しかし、そう簡単に’メニュー’のようなモノができない職種もあります。メニューを創るぐらいだったら、自分でやったほうが早い、という場合もあります。

では、オーダー時にどうしたらいいのか。

やはり、根本は同じで、イメージを詳細に伝える、ということだと考えています。

別にエクセルで綺麗に見本表をつくる、ということではなく、プログラムを組む、ということではなく…メモでも良いので、頼む相手との共通認識、共通言語(専門用語も含めて)を持つ、ということが大事だと思っています。

 

 

▼舞台の演出時も同じで、演出家の大きな仕事の一つが、俳優さんに「如何にイメージを広げてもらうか」ということです。

物語の背景はどういった場所、時代であるのか。その役が置かれた立場は?その役がどうしてそこに居るのかなどなど、細かいくらい詳細を俳優さんにイメージしてもらう必要があります。

 

▼台本を読めば、私のような演出家を含めて、スタッフの人数分、役者の人数分、感想や思い、イメージが生まれます。そうしたイメージをすり合わせて、より具体的なイメージをしてもらう、詳細までイメージを膨らませてもらう為に、演出家は俳優さんとコミニュケーションとらなければいけません。

 

▼時には、画に書き、時には情景を事細かに話したりして…方法はいくらでもありますが、役をお願いする以上、演出家はその物語、役について、イメージを膨らませてもらう為の作業をします。

 

▼先ほど書きましたように’メニュー’の様な見本を作ることができれば言うことないのですが、見本を作ることができない理由があるのであれば、”共通認識”を持てるような方法を作り出すことが肝要だと考えています。

 

▼人へのモノの頼み方、オーダーの出し方というのは・・・”共通認識”がないと成り立ちませんし、「やり方」や「方法」を伝える事はモノを頼むこと全てではありません。『何がほしいのか』を明確にし、それをイメージしてもらうことが、『モノを頼む』『オーダーする』事だと私は考えています。