▼新和座の次期公演は『デスマーチ -ITサポ戦線、離脱不可-』という奏ちよこ先生書き下ろしの物語です。
▼物語のタイトルにも入っていますが、『IT業界』が舞台の物語です。
▼ぼくは、このブログで何回か書いておりますが…システムエンジニアをしていた時期があります。いわゆるプログラム言語を書いていた時期もあります。
▼不思議なもので…そうした時期の事を思い出しますと…今の仕事に役立つものというもは色々とあるのです。
▼これは、プログラムを作る上で(ぼくとしては大事にしています、)「変数の初期化」というものがあります。これは、おおまかに言いますと、色々な値が入るであろう変数の初期値を設定するということです。
▼この初期化という言葉だけ見ると「リセット」ですとか「データがなくなる」というイメージがあるかもしれませんが…あくまでも初期値を設定するということなのです。
▼これはお芝居の「役」でも応用できる考え方だと感じています。
・稽古場に入った時に、役者としての初期化はできているかどうか。
・稽古が始まった時に、役としての初期化はできているかどうか。
などなど…
▼前者は、稽古場に私情を挟まない、『自分の都合』を持ち込んでいないか、ということです。体調や気分、調子などなど…稽古は自分だけのものではありません。いくらメンタルを扱う仕事とは言え、『自分の都合』を持ち込んでは他の人が稽古になりません。稽古場には自分以外の人のほうが多くいるわけですから。
ですので、たとえ嫌なことがあったとしても、前回まで得たものを初期値として置き換えて、『初期化』するのはとっても大切だと考えています。
▼後者は、役としての初期化です。役はもちろんこれから起きることは何にも知りません。予知能力を持った役でさえ、これからどんな結末を迎えるのか知りません。しかし、”役者”の自分は結末もこれから何が起こるのかも知っています。このバランスが難しいですが…物語がスタートするときには『役』として『初期化』することが大切です。記憶、考え方、身体、表情、気持ち、疲れ方、体力などなど…
▼ここで間違えてはいけないのが…前回までの稽古で行ったこと(段取り、モノのの言い方、考え方、動きなどなど)をリセットすることを初期化とは言いません。前回までに得た事を設定することこそが初期化(Initialization)です。
▼初期化、Initializationすることで、稽古も物語もスムーズに進むと考えています。稽古でも、前回やったことではなく、役者以外の自分を設定していてはやはりうまくありませんし、役としては、「これからあれやって、これやって」とやはり役者の顔が多く覗いていてはうまくないとぼくは考えています。
▼初期化・Initializationというのはとっても大事だとぼくは考えています。