▼テレビ一つとっても。大きく分けると『出る人』と『見る人』がいます。お芝居を仕事にしようと思ったら、もちろん、『出る人』にならなければいけないわけですが・・・

▼ぼくはこう考えています。『出る側とは言い訳できないし、常にサービスを提供し続けなければならない』と。
つまり、テレビにしろ、舞台にしろ、ラジオにしろ、ドラマCDなどの媒体などど・・・出る以上、言い訳はお客様には言えないわけです。

▼どういうことかと言えば、例えば、ぼくが舞台に出演したとします。しばらく経つとその作品の事がインターネットで話題になったとします。
「いやぁ~メインキャラは良いんだけれども、あのキャラ(ぼくが演じた役)が作品をぶちこわしているよね。」
などと感想を書かれたとしたら…

▼きっと凹むでしょう。人知れず枕を涙で濡らすでしょう。。。しかし。

▼それに対して言い訳は絶対にできないのです。言い返す事など出来ないのです。何故ならばお客様の感想であり、ぼくが演じた役に対して、どう思われようがお客様のご自由なのです。

▼いや、人間ですから、凹みもするでしょうし、嫌な気分になるのは当然です。
その日の体調が悪かったのかもしれません。たまたま、ぼくのできるお芝居にあわないキャラクターだったのかもしれません。はたまた、作品全体の演出やキャスティングが良くなかったのかもしれません。

▼色々あれど、この感想、意見に対しては、けっして言い訳ができないのです。何故ならば、仕事だからなのです。これでお金をお客様から頂戴しているわけですから、言い訳ができないのです。
同時に止める事も許されません。他の出演者やスタッフが居る訳ですから、一人の私情や理由で公演やお稽古を中止するわけにはいかないのです。なので、いくら批判されても、批評されても、また褒められても・・・
それは我々を育ててくれるご意見なわけですから、どんなご意見にも言い訳はできないのです、活かすことはできたとしても。

▼反対に”見る側”はどちらかというと気が楽かもしれません。つまらなければ、見なきゃ(聞かなきゃ)いいだけのことですから。テレビで例えるならば、面白い番組がやっていなければ、チャンネルを変えれば済む話です。ですが、出る側はそうは行かない訳です。

▼出る側の人間になるということは、とてつもなくストレスになることもあります。しかし、それを乗り越えて、常にサービス精神を発揮して、お客様に色々な作品を届ける気概や気持ちが必要なのだと強くぼくは考えています。