▼7月10日の日曜日に、お芝居の大先輩、松本大さんが主宰されている声優教室に”生徒”として参加してきました。

▼このブログでも何度か書いておりますが…本当に濃い時間の教室です。今回は見学ではなく、”生徒”として参加してきました。

▼もちろん、ぼくがこれから声優さんに、というわけではありません。今回ぼくは、別の目的で参加するのを松本さんに我儘を聞いて頂き、さらに生徒さん方も受け入れてくれました。本当にありがとうございます!


▼声優教室の主旨は「真剣に声優としてやっていきたいんだ」という人の参加が原則です。今回、ぼくは別の目的で参加しましたが、教室に”生徒”として参加する以上、ほかの生徒さん、役者さんとスタジオに入ります。

▼とっても緊張しました。スタジオと言えばマイクのセッティングをするために、ブースに入ることはあるものの、大体がサブルームでコンソールを前にすることが多いわけです。

▼マイクを目の前にして、妙な脂汗が出てきます。ぼくはつくづく役者に向いていないなぁ〜と思いました。

▼講座の内容は…くわしくは書けませんが、プロの声優さんが使うスタジオで、もちろん、サブルーム側はProToolsで、マイクもヘッドホンも素晴らしい機材です。モニター画面には課題の画が流れています。

▼最初に「テストしましょう」と松本さんのお声。もちろんぼくにはテストも何も…口が乾き、頭がまっしろ。目の前の画を追うのに精一杯です。さらにはマイクワークなんてまるで無視…とほほ。

▼そんな中でもテスト、録音を経て、自分が演じたモノを見て、聞く。そこで松本さんからアドバイスを頂く。そしてもう一度録音をしてみる。

▼その最後に録音したものをもう一度聞きますと…
松本さんのアドバイスで出来たところと出来ないところ、そして…
やったつもりなのに、出来ていかなったところ
があったわけです。

▼ぼくの今回の目的。それはこの記事でも詳しくは書きませんが…あえて言うのであれば、「新和座の稽古」に変化を求めるためでした。

座のブログには何回か書きましたが、松本さんは新和座の稽古場にお運び頂き、アドバイスを頂きました。そして、座の俳優の芝居が明らかに変わったのです。それがこの間のロミオとジュリエットでした。

▼その秘密をぼく自身が体験することが今回の目的の一つでした。ぼくは今回の声優教室の参加を経て、一つ、ぼくが今まで拘っていたモノが非常に愚かであったと痛切に反省しました。

▼ですので、次の新和座の稽古場では今までと言っている事が異なる部分もあると思いますが…座の俳優たちとこの”拘り”を止め、新たな稽古場を創っていくことにしました。

▼話は元に戻りますが…「やったつもりなのに、出来ていかなったところ」これは…原因があります。それは私情をめっちゃくちゃ挟み込んだからです。
良い所を見せたいとか、変わった所を見せたいとか、言ってもぼく、結構やってたし…などなど…
”武藤”としての私情が多分にあったために、役に向かいあえていなかったのです。もちろん、技術的に未熟な部分もありますが、それを稽古するための前提の心構えが出来ていかなったわけです。(教室に参加する心構えとしては、そういう気持ちがあったほうが良いと思いますが…いざ、マイク前に立った時には不要なものです)
何故私情が挟み込まれたか。これはこれからの座の課題にもなってくると思います。

▼声優教室の雰囲気というのは…物凄いものです。そこには、ダレた空気はなく、誰もが、”何かを得よう”、”出来なかった所をやろう”という気持ちが生徒さんたちの目からひしひしと感じました。もちろん、『教室』です。しかし、そこにいわゆる生徒さんはおらず、誰もが、『役者』もしくは『職業人』としての心構えを持った人々が居るのです。

▼そしてぼくは以前から思っていることをあらためて感じることができました。その1つが『役者は役者が育てると伸びる』ということです。これも別の記事にて書こうと思っておりますが、松本さんのような第一線でご活躍されている役者さんがご指導される内容は・・・やはり『役者』を変えます。
だって、ぼくですら、『変わった所』があったわけですから。

正直に言えば…20数年くらい前に役者として、松本さんに出会いたかったなぁ…と。

▼ぼくは今回、我儘を聞いてもらって得た事を座に持ち帰り、舞台演出家として、次の作品に取り組みます。

▼見学ではなく、実際にやってみて、聞いて、触れることは心を動かします。やはり体験することは、生のモノに触れることは身になる、改めて強く思った声優教室でした。