人を好きになる。役を好きになる。

▼このブログでも何度か書いていますが…役作りの第一歩は「その役を好きなる」事だと考えています。

▼何故、「役を好きになる」事が必要か。それは、自分と役は違う人物であり、違う人間であり、存在が異なるからです。もちろん、作品上、自分の容姿や性格に近い役を配役されることが多いと思います。しかし、それでも、「まったく同じ」ということはあまりありません。

▼自分と違う役であれば当然、否定的な感覚が出てきます。すなわち、「これは私だったら言わないな」とか「これは俺だったらやらない」とか「僕だったら、もっとこうする」とか…しかし、これらは役者である人が思うことで役が思っていることではありません。

▼役作りの第一歩は、役の全て、役が喋っていることや行っていることの全てを肯定的に捉えることから始まると考えています。その上でアイデアだったり、制限だったりを加味してカタチにしていくことが役作りです。
「できないから」とか「あわないから」は理由になりません。
役の全てを肯定し、できた上で新しい何かが創られると考えています。

▼しかしながら、人間ですから…やっぱり、「嫌」な事もあります。何故なら、人間もそうであるように「役」も完璧な人間なんていないからです。
だったらどうするか…まず、”役を好きになる”事が第一です。

▼実社会で恋愛でも、友人関係でもそうだと思いますが…相手の事が好きになると…多少の「嫌な部分」は我慢できたりします。ぼくの講座でも言う事ですが…恋愛や友人関係を通じて人を好きになる、人に興味を持つということはお芝居をする上で非常に有効だと思っています。

▼ここで忘れてはいけないのは…「嫌」な事に目をつぶるわけではない、ということです。その（役が持っている）嫌なモノを自分（役者）とどう融合していくか、ということが重要です。
恋愛でも友人関係でもそうだと思いますが…相手の事が好きになればなるほど…「いろんな事」を知ろうとします。
役作りも同じで役を好きになればなるほど…役の色々な事を知ろうと深く読み込む行動に繋がります。

…嫌なことでも好きになれると、更にその人と一緒にいたい、と思うでしょ。