ぼくは自分自身の事を面白いと思ったことなど一度もない。

▼「面白いですよ~」
ぼくは他人からよく変わっている、とか。
うける、とか。
面白いとか言われる。
でも、自分自身で面白いと思ったことは一度もない。
人に心地よく居てもらいたいと思うことはあっても、自分自身が発する事で面白いと思ったことは一度もない。

▼ぼくのいる空間での笑い。
確かに、ぼくの周り…特に稽古場や稽古後ではバカ話で笑いが起きることが多い。
しかし、それは、ぼくの立場というか…先生的な役割をしてるから…みんな「笑ってくれている」のではないか、と思うのだ。
さらには「笑ってくれている」ならまだ良いが…「笑われている」だと…これはもう…

▼悩み
実は劇団新和座の次期公演は…喜劇をやることにした。
しかもオリジナルで。
ぼくが書く、と。
そういう企画が冗談ではなく、本当に通ってしまった。
自分自身が面白いと思っていない人間が喜劇など書けるのだろうか…
悩んだ。
そもそも新和座は悲劇の上演が多い。
それ以前に面白い人間なんか座にいたか?!と思ってしまう。


▼真剣に
真剣に悩み、書いた。書き上がった。
何度も座の稽古場に原稿を持ち込んで、創っては消し、消しては書き、また創り…
俳優さんたちの意見も取り入れつつ、書き上げた。
ぼく自信、面白い人間だと思っていないから、ネタを集める段階から、俳優さんに試してもらう時も、移動の際も…
いつも以上に周りの人の観察をした。
ぼくの目に映るもの全てを反芻した。
真剣に人間の動きを書いてみた。


▼新和座の喜劇
悲劇ばっかり上演してきた新和座がもし、喜劇をやったらどうなるか。
予想はつかない。

ぼくも舞台演出家として、
つまらない人間だとは思っていない。

と同時に皆さんが言ってくれるような面白い人間だとも思っていない。


だけれども…人間が真剣になればなるほど、滑稽だ、という感覚はしっているつもりだ。だからこそ、真剣に役の動きを考えて、書いてみた。
色々な人間の動きを想像したら…小さいたくさんの物語が出来た。
これを来年年頭、皆様にご覧頂く。
少しでも笑って、楽しんでいただけるように、舞台演出家の仕事をする。