稽古でやろうともしなかった事が本番できるわけがない。

『稽古でやろうともしなかった事が本番できるわけがない。』
とタイトルに書きましたが…
もっと詳細に書けば、
『稽古でやろうともしなかった事』は『本番できる』可能性は限りなく０に近いと僕は考えています。

▼稽古場でできたか、できないか。
稽古場で課題が発生し、それにチャレンジすることは、役者さんもそうだと思いますが、演出者にとってもドキドキすることです。
しかし、その課題にチャレンジしなければ、その課題ができるようになることはありません。
その課題にチャレンジすることが出来るようになる第一歩です。
もし、最初にできなかったとしても、やり方や考え方を変え、チャレンジし続けることは大事な事だと考えています。

▼本番の環境
舞台公演をしていて、小屋に入り、衣装を来て、メイクをして、道具が揃い、装置が入り、灯り、音が入る…気持ちも高揚し、やる気も出てきます。
役者さんにかぎらず、スタッフも普段以上のパフォーマンスが期待できます。
こうした環境が揃うと、稽古でできなかったことが本番で出来る場合があります。これはあくまで場合であり、「必ずできる」といったものではありません。

▼いくら環境が揃っても…
舞台本番の環境がそろったとしても…稽古で「やらなかった事」が本番で「出来る可能性」は限りなく０に近いです。
何故かと言えば、やりもしなかった事というは、自分の頭にそもそも「課題」や「技術」が入っていませんので行動に移せないからです。
さらに練習も積んでいませんから、万万が一、「できた風」になったとしても…みすぼらしい物になったり、最悪の場合、大怪我をしてしまうこともあります。

▼稽古でやってみる。

試して試して、できなくてもやってみて…できるようなったもの。これは本番で更に光り輝きます。
稽古で出来なかったが環境が変わり、気持ちが高揚したことによって、できるようになるかも知れません。
しかし、そこには「保証」は何一つないのです。
稽古でできたことが本番で成功する「保証」もありません。が、稽古でやったことは、やらなかったことに比べて「保証」の信頼度が非常に増します。自分で練習したもの、皆と稽古したものの実績は、やる毎に信頼度が増していくわけです。
ですので稽古で「やりもしなかったこと」「試しもしなかった事」が出来る可能性はほんっとに０に近いですし、信頼度は非常に低いものになるわけです。

稽古も本番も同じ仕事です。稽古だから気を抜く、とか稽古だから、練習だから、レッスンだからやらなくていい、なんてことは一切ありません。
試す場で試さなかったものは「できる保証の信頼度」が著しく低いものです。
稽古も本番同様と捉え、真剣に望む事が肝要だと考えています。