温度

舞台を創っていて表現が難しいな、と思う事の一つに「温度」があります。
気温、体温。
もちろんこれも距離と同様、物理的なモノと論理的なモノがあるように考えています。

本番中の劇場内の温度とは別に、作品中の気温を現すのって、非常に難しいと考えています。

舞台の中で、温度を現すもの…
衣装、髪型、装置、道具、灯り、音…
役者さんの表情、台詞、汗、仕草…などなど。

台詞の中に、「３０度を超えている！」とか「今日は氷点下かぁ」ってあれば、お客様にダイレクトに伝わるとは思います。
それでも難しいと感じています。


何が難しいかと言えば…
台詞によっては、「燃える」台詞もあれば「冷める」台詞もあります。
それらに対応する相手役の台詞もあります。
つまり、それらの『倫理的な温度』と『物語の中の温度』をどのように現すか、どのように融合させるか、というのは非常に難しいと感じています。

これは、”距離”にしてもそうですし、”時間”にしても言えることですが、そういった目に見えないものをお客様に感じ取っていただくのも舞台演劇の一つだと考えています。