お芝居は…
つまるところ、
「しなければならない」事というのは非常に少ないと考えています。

「こう動かなければいけない」
そう考えた時点で役者が役になっていないと考えます。
もちろん、舞台上の制約があり、約束された段取りとして行動しなければいけない時は別です。

台詞一つ、ト書き、仕草、動きひとつひとつとっても、すべては必然性があって、行動していると思うのです。とたえ、その役が台本上で「しなければならない」行為をしていても、役にとっては「しなければならない」と考える理由、必然があるはずですし、役者が「しなければならない」行動とは別だと考えています。

役者が「しなければならない」と感じてしまう時は…欲求や衝動、きっかけがないとその役についての表現が足りないのではないかと考えています。

人間は生きる為にご飯を食べます。これは必然であります。
「食べなければ生きて行けない」ともできますが、人間の本能としては’食べる’、’食べたい’ということではないでしょうか。

台本を良く読み込み、その役の欲求や行動への衝動といったものを良く解釈し、それを役者が自分のきっかけとして表現していくことが基本なのではないかと私は考えています。