さて、今回は『聞く・見る・動く』という事を考えてみたいと思います。お芝居は大概、何か対象に向けてやるものです。
相手役や何かのモノに対して等々…
台本には、いずれかのキャラクターが何か動きを発します。しゃべったり、歩いたり、見つけたり…
その動きを見て、聞いて、動くことがその役をつくる上での第一歩であると考えます。自分の感情や心理状況、背景を考えることはもちろんですが、この相手、他者の動きに反応し、呼応しなければ、作品は成り立たないことが多々あるかと思います。
台本には―――ト書きには―――ある程度限定された情報しか載っていないことがあります。これは、役をつくる上において"最低ライン"やるべきことであるわけです。この最低ラインを行ったからと言って、完了なわけではありません。
それ以上にその物語で生きているものとして、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、時には味覚も。感覚を十二分に生かさなければ「舞台の上で生きる」ことはできないと考えます。
そういった感覚を十二分に生かし、次の行動、所作(台詞を含む)に繋げていかなければなりません。人間の活動の中で、―――例えボーッとすることはあっても―――細切れな行動というのは、ありえないと思います。(そういうことを意識して行わない限りは…)
他者、相手の反応に呼応し、次の自分の行動に繋げていく、更に自分の行動にも呼応していく…演じるとはある種この繰り返しなのだと考えます。