今回は「肯定すること」ということについてお話をしたいと思います。

お友達付き合いや、人間関係、家族関係などで、
人から否定されることほど嫌なことはありませんよね。
「それは違う」
とか
「それは間違っている」
とか…

お芝居でも、演出や監督さんからダメだしされると嫌な気分がしたりしませんか?
この嫌な気分がしているうちは役作りなんかできないわけです。

何故か。

それは、役者さんが先に
’物語’や’登場人物’や’作品’、’演出’について
否定してしまったからなのです。

もちろん、好きで否定したわけではない場合もあるでしょう。
しかしながら、ダメ出しをもらうということは、どこかしら、そのお芝居を通じて、演出や監督が思っている事と違うことはたまた、作品の内容とは食い違った事をしているわけです。
そして、「役」ではなく「役者」としての部分で考え行動している場合もあります。

このブログでも何回か話題に出しましたが、役作りを行う上でもっとも最初にすることは
『役を好きになる。』
ということだと考えます。
これは、単純なことのように思いますが、これがなかなかどうしてできるものでは無い時があります。


もし、自分のキャラクターに合わない役が来てしまったら・・・
もし、自分が嫌いなタイプの役が来てしまったら・・・
もし、自分がやったことのない役が来てしまったら・・・
もし・・・

こうした場合、役を否定して考えてしまうことがあります。
「自分だったらこうしないな」
とか
「自分だったらこうは言わないな」
とか・・・

作品に向かい合う上で、ある種の冷静さは必要ですが、役者個人をして
「自分だったら」
ということをお芝居に出してしまったら、
作品に失礼だと思うのです。

物語も登場人物をまずは肯定し、好きにならなければ役作りは始まらない、そう考えております。