実は僕は・・・役者時代から今の舞台演出をしている、今この瞬間まで。
稽古をしていて「楽しい」と感じた事は一度もない。
どちらかと言うと「苦痛」の方が大きい。

これはあくまで僕一人の事であって、
色んな役者さん、演出家の先生と話していると「楽しむ」事をしているのも事実だ。

僕はそういう人々の事を羨ましいって思う。
僕は役をもらったり、作品を演出する段になると、苦しむ。
逃げ出したいくらい苦しいし、嫌になるくらい何かに追い込まれる。
もがき、苦しみ、なんとも言えないドロドロの感情が僕の心を支配する。

だから、稽古場で楽しさを一度も感じたことはない。

じゃあ、なんでやっているのか、続けているのか。
それは・・・気持ちいいから。

上演後、お客様の拍手もそうだし、お客様の感想もそうだし。
そのすべての・・・何かしらの反応、お褒めいただくことも厳しいご意見を頂くことも・・・
とっても気持ちいいものなのだ。

こう書くと叱られてしまいそうだが・・・エクスタシーににも似た快楽を得る。
これは表現しがたいが、オナニーよりもセックスよりも気持ちいいのだ。

だから、僕は稽古が楽しくなくても苦痛に思っても芝居を続けちゃう。