お芝居に限ったことじゃないかもしれないけれども。
初めて経験した事柄について、
その気持の変化だったり、身体の変化というのは大切だし、
できる限り記憶しておきたいと考えている。

お芝居の世界は現実には絶対に起きない事を演じなければいけない時がある。
例えば、
 自分自身が空を飛んでみたり、
 手から何か波動が出てきたり、
 魔法を使ってみたり、
 呪いをかけてみたり、
 人を殺してみたり、
 ものすごい嫉妬をしてみたり、
 ありえないほどの恋愛をしてみたり・・・
と様々だ。

実際に経験していないことはイメージを詳細にするしかない。
そして、そのイメージを詳細にする手助けが擬似的な経験がその一部となったりする。
例えば・・・
 空を飛ぶ
というお芝居をするときは・・・
もちろん、基本は自分のイメージなのだが・・・
飛行機に乗った時の感覚、離陸や着陸の感覚っていうのが少し手助けになると思う。

そして、その擬似的な体験をするということのはじめ、
初めて、その経験をする時っていうのは物凄く大切だ、と考えている。
 初めて人を好きになった時の事、
 初めてキスをした時の事、
 初めてセックスした時の事
などはすぐに思いつく『初体験』だと思う。
これらをもっと掘り下げる事もできると思う。
 初めて一目惚れした時のこと。
 初めて不倫のような恋をしてみたいと思った時のこと。
 初めて愛ということに考えた時のこと。
などなど。

こうした関連でなくても、
 初めて運転した時のこと、初めてでんぐり返ししたときのこと、初めてうどんを茹でた時のこと、初めて形の違うヘッドホンで音を聞いた時のこと、初めてオーケストラを聞いた時のこと、初めて舞台を見た時のこと、初めてのお給料、初めてガンプラ作った時のことなどなど・・・

初めての経験をして、その時の心の変化と身体の変化・・・
どう身体が反応して、どんな気持ちになったかを(感覚だけでも)覚えておくことは、
現実世界で起こり得ない事がたくさん起きるお芝居をしていく上でとっても大切だ、と考えている。