舞台を作っていると、新たな技術に出会うことがしばしばあります。
そうした時に演出家はその技術に関して、自分なりの解釈をもって、対策というか、施策・・・あらたな方法を考える必要があると思っています。

その施策について俳優さんを振り回すことはもってのほかであるが、芸術家として、施策がないのはどうかと思うのです。
もちろん、演出家の仕事の一番の根幹は
『役者の想像力を掻き立てる』
ということです。
新しい技術を作品に取り入れようとおもったら、その技術があることによって、舞台全体がどのように変わるかということをイメージするのはもちろん、如何に俳優さんの想像力を掻き立ててもらうようにできるか、ということを考える必要だと思っています。

同時にこれは俳優さんに言えることだと思うのです。
新しい現場であれば、その現場の文化を取り入れ、施策を講じなければ、次の仕事はなかなかこないのではないでしょうか。
というのも、やはり我々人間は、経験からの判断に基づき行動、言動を行っていることが多いです。
そうした観点から、今までの自分のやり方のみを行なっていたら・・・その他大勢の経験や歴史を―――最悪、無視してしてまう可能性すらあるのではないか、と感じるのです。

我々は常に柔軟な頭と施策を持って取り組まねばならない仕事なのだ、と考えています。