舞台本番でも、お稽古中でも俳優たるもの、言い訳はできないと考えています。
お客様は役者の演じる声、身体、しぐさ、雰囲気・・・すべてをお客様独自の解釈でご覧になります。

そういった事を鑑みると、演じる側の都合というのはお客様は知らない、知るわけが無いのであります。
台本を持っているわけでもありませんし、俳優さんを個人的に知っている人ならまだしも、そうでない場合が多いと思います。

そして、演者がどう考えていて、それが例えばアクシデントによるもの、不測の事態、たまたまの偶発・・・・
思い通りの事ができなかったとしても、
お客様お一人お一人に説明してまわるのことはできないのではないでしょうか。


お稽古中も同じことだと思います。
見えるものでしか、他の俳優さん、演出家は判断できません。
ですので、如何に自分が思い描いていることを表現できるかということだと思います。

こと、お稽古中に関しては表現を試す機会なわけですから、言葉を使って「どう考えているか」ということを伝えるのは非常に大事だと思います。
ただし、伝えるときにそれが言い訳になってしまっては拙い、と考えています。

昔、私の師匠からこんな言葉を頂戴しました。
『'知っている','分っている'と言っているうちは本当に分っていない。
 その事象を実行できてこそ、真に理解したことになる。
 芝居の世界でも同じ。』