僕は『演出』と言われる行為と『演技指導』と言われる行為はまったくの別物だと考えています。
演出行動の中に『演技指導』が含まれる場合もありますが…僕が作品を演出する時は『演技指導』と言うことはあまり行いません。
演出の仕事は色々あります。
キャスティングもそうですし、照明プランの元を作ったりもそうですし、音響効果の元を作ったりもそうです。この他色々な仕事があります。
対俳優さんに対しては大きな仕事は「その世界観を明確にイメージしてもらう」ということに尽きます。
ですので、これは僕のやり方ではありますが、作品を作ろうと思ったら・・・
1.演出目標、演出テーマを伝える
作品として何を伝えたいのか、役者・スタッフが拠り所となるテーマを言います。
2.作品の方針を伝える
制作的側面も含めて、作品をどのようにしていきたいとのかを言います。
3.各役に期待する役の像を伝える
各役者さんに期待する”役”の像について認識をあわせます。
これがまずやることです。
基本的に後は…段取りだったり、約束された動きだったりをいう程度です。
そして『演技指導』と混同されやすいのが、所謂『ダメ出し』です。
僕は演出行動をしている時は、上記の3点からずれているかどうかを基準にダメ出しします。
『何故、その行動になったのか』
『その時、心はどう動いているのか』
と言ったことを中心に伝えます。
つまり、モノの言い方や仕草までは「こうしてください」とはあまり言いません。
約束された段取り以外は…仕草や表情、台詞の喋り方は役者さんが作る部分だと考えています。
もし、自分の好みと違うものだったり、上記の3点からずれたりした場合のみ、ダメ出しをするわけです。
対して、演技指導については…もちろん課題として台本などを用いますが、
これは各役者さんのスキル、技などを広げるためのものだと考えており、
作品を創る時には『演技指導』は必要ないものだと基本的には考えています!
