諫早市議会は平成24年11月30日諫早市議会基本条例を全員賛成のもと成立した。(提案理由)諫早市議会は、二元代表制の趣旨のもと、市政運営の監視とともに政策立案及び政策提案を積極的に行い、市民福祉の増進と市勢発展に貢献する責務を負っている。本市議会は市民の負託に応えるため、不断の努力を重ねながら、より開かれた議会、信頼される議会を目指し、ここに議会及び議員の活動に関する基本理念を明確に掲げ、議会の最高規範を定めたいのでこの条例を提案する。

 諫早市議会基本条例

前文

 地方分権の進展により、地方議会及び地方自治体はその権限が強化され、担うべき役割や責任も大きくなってきた。

 このような中、市民の負託を受けた議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、市長と対等な立場で競い合い、緊張感を保持し、ともに市民福祉の増進と市勢発展に貢献する責務を負っている。

 議会は、市民との意見交換を行い、議員同士の議論を活発化させ、論点や課題を整理し、意見を集約していくことが求められている。また、市長の政策や市政運営を監視するとともに、政策立案や政策提案を積極的に行っていかなければならない。

 議会は、公正及び公開を確保し、市民に開かれた議会、市民に信頼される議会を目指すため、ここに「諫早市議会基本条例」を制定する。

 第1章  総 則

 (目的)

第1条  この条例は、議会運営における規範的事項を定めることにより、諫早市民(以下「市民」という。)から負託を受けた諫早市議会(以下「議会」という。)としての役割を発揮するとともに、市民福祉の増進及び市勢の発展に寄与することを目的とする。

 (最高規範性)

第2条  この条例は議会の最高規範であり、議会は、この条例の趣旨に反し、議会運営に関するじょうれい、規則等を制定、改正又は廃止してはならない。

 第2章  議会の運営原則及び議員の活動原則

 (議会の運営原則)

第3条  議会は、次に掲げる原則に基づき運営するものとする。

 (1) 公開性、公正性及び透明性を確保し、市民に信頼される議会を目指すこと。

 (2) 市民を代表する議事機関であることを常に自覚し、諫早市長(以下「市長」という。)その他の執行機関の市政運営状況を監視すること。

 (3) 市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させるための議会運営を目指すこと。

 (4) 議員相互間の議論を十分に尽くし、合意形成に努めること。

 (5) 諫早市議会会議規則(平成17年議会規則第1号)諫早市議会委員会条例(平成17年条例第225号)及び議会における慣例・申し合わせ事項は市民の意見、社会の情勢の変化等を勘案し、継続して精査し、必要があれば見直しを行うこと。

 (6) 市民が傍聴しやすい環境づくりに努めるとともに、わかりやすい言葉・表現を用いた議会運営に努めること。

 (議員の活動原則)

第4条  議員は、次に掲げる原則に基づき活動するものとする。

 (1) 議会は言論の府であり、合議制の機関であることを十分認識し、議員相互間の自由闊達な議論を推進し、合意形成に努めること。

 (2) 市政全般について市民の意見を的確に把握し、市民全体のために奉仕、活動するよう努めること。

 (3) 常に自己研鑽に努め、政策立案能力の向上及び積極的な条例提案を行うよう努めること。

 (定例会の回数)

第5条  地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第102条第2項の規定による議会の定例会の回数は、毎年4回とする。

 (会派)

第6条  議員は、議会活動を行うため、2人以上の議員により会派を結成することができる。

 2  会派は、政策立案、政策提案、政策決定等を行おうとするときは、議論を尽くして合意形成に努めるとともに、その意思を表明することができる。

 (自由討議の促進)

第7条  議会は、言論の府であることを十分に認識し、議員相互間の自由討議により議論を尽くし、合意形成に努めるものとする。

 2  議会は、前項の議論を踏まえ、条例、意見書等の議案提出を積極的に行うよう努めるものとする。

   第3章  市民と議会の関係

 (市民と議会の関係)

第8条  議会は、議会活動に関して有する情報を、市民に対し積極的に公表し、説明責任を十分に果たすものとする。

 2  議会は、市民との意見交換の場を設け、議員の政策立案能力の向上及び政策提案の拡大に努めるものとす。

 3  議会は、請願の審議においては、請願者の意見を聴く機会を設けるよう努めるものとする。

 (議会報告会)

第9条  議会は、前条の目的を達成するために、議会報告会を行うものとする。

 2  前項に関し必要な事項は、別に定める。

   第4章  議会と市長等との関係

 (議会と市長等の関係)

第10条  議会は、二元代表制に基づき、市長と常に緊張感関係を保持し、事務の執行の監視及び評価を行うとともに、お互いの機能を尊重し、市勢の発展に取り組むものとする。

 2 会議又は委員会において、議員並びに市長及びその他の執行機関の長並びにそれらの補助職員は、論点及び争点を明確にしなければならない。

 3 会議又は委員会において、議員は一問一答方式を積極的に活用し、市長及びその他の執行機関の長並びにそれらの補助職員は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問等に対して反問することができる。

 (議会の議決に付すべき事件)

第11条  本市における総合的かつ計画的な行政運営を図るために定める総合計画を策定又は変更するに当たっては、これを法第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件とする。

 2 前項の規定にかかわらず、計画の趣旨の変更又は大幅な変更を伴わないものについては議決を要しない。

 (議会審議における着眼点)

第12条  議会は、市長が提案する重要な計画、政策、事業等(以下「政策等」という。)について、議会審議における着眼点を整理し、その政策水準等を高めるため、市長に対し、次の各号に掲げる事項の説明を求めるものとする。

 (1) 政策等が必要となった背景

 (2) 提案に至るまでの経緯

 (3) 市民参加の実施の有無及び内容

 (4) 他の自治体の類似する政策等との比較検討

 (5) 総合計画との整合性

 (6) 財源措置及び将来にわたる費用負担

 (7) 政策等の効果

 (予算及び決算における説明)

第13条  議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前条の規定に準じて、市長に対し、分かりやすい施策別又は事業別の説明を求めるものとする。

 (適正な議会費の確保)

第14条  議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を充実するため、必要な予算の確保に努めるものとする。

  第5章  議会の体制整備

 (委員会の活動)

第15条  議会は、社会情勢の変化等により、新たに生ずる行政課題などに迅速かつ的確に対応するため、委員会の専門性と特性を活かした適切な運営に努めるものとする。

 2  委員会は、その運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を積極的に活用するものとする。

 3 委員会は、第3条第1号に基づき原則公開するものとし、分かりやすい議論に努めなければならない。

 4 委員会は、その所管する事務について積極的に調査研究を行い、議案審査に資するとともに、政策提案などに努めるものとする。

 5 委員会は、視察を実施した場合は、その成果等を市政向上に反映させるよう努めなければならない。

 (議員研修の充実強化)

第16条  議会は、この条例の理念を議員間で共有するため、一般選挙を経た任期開始後、速やかにこの条例に関する研修を行わなければならない。

 2 議会は、議員の政策立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化を図るものとする。

 3 議会は、議員研修の充実強化に当たっては、広く各分野から専門的知識を取り入れるよう努めるものとする。

 (議会図書室の利用)

第17条  議会は、議員の調査研究及び政策立案能力向上のため、議会図書室の図書、資料等の充実に努めるものとする。

 2 議会は、議会図書室の市民による利用を推進するものとする。

 3 議会図書室の管理等に関し必要な事項は、別に定める。

 (議会広報・広聴の充実)

第18条  議会は、議会法、ホームページ等多様な広報手段を活用し、市民に対し情報を提供するとともに、市民からの意見、要望等の聴取等、市民の議会及び市政への関心を高めるための体制整備並びに広報・広聴活動の充実強化に努めるものとする。

 (専門的知見の活用)

第19条  議会は、市が直面する重要課題に対応するため法第100条の2の規定により、大学等研究機関との連携又は専門的知識及び経験を有する者の積極的活用を図ることができる。

 (議会事務局体制の充実強化)

第20条  議会は、議会の政策提案機能、監視及び調査機能を補助させるため、議会事務局の体制の充実強化を図るよう努めるものとする。

  2 議長は、議会事務局の体制の充実強化のため、大学等や専門的知識を有する者を活用することができる。

  第6章  議員の政治倫理、身分及び待遇

 (議員の政治倫理)

第21条  議員は、市民全体の奉仕者としてその品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し、不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないなど、市民の信頼に応えるとともに公正で民主的な市政の発展に寄与しなければならない。

 (政務活動費)

第22条  政務活動費は、議員が市政に対する監視・評価及び政策立案・提案を行うための調査及び研究に資するため交付されるものであることを認識し、適正に執行しなければならない。

 2 政務活動費の収支報告書及び会計帳簿等は積極的に公表するものとする。

 3 議会は、諫早市議会政務調査費の交付に関する条例(平成17年条例第227号)の改正に当たっては、議会の役割及び活動状況を踏まえ、議会内で十分分検討するものとする。

 (議員定数)

第23条  法第91条第1項の規定による議会の議員定数は、30人とする。

 2  議会は、議員定数の改正に当たっては、参考人制度及び公聴会制度を分に活用する等、市民の意向を把握し、本市の実情にあった定数を検討すものとする。

 (議員報酬)

第24条  議員報酬は、諫早市議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例(平成17年条例第38号)で定める。

 2  議会は、議員報酬の改正に当たっては、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用する等市民の意向を把握することができる。

 3  議会は、前項の規定により市民の意向を把握し、本市の実情にあった報酬を検討した結果について、市長に提出することができる。

  第7章  条例の検証及び見直し

 (条例の検証及び見直し手続)

第25条  議会は、この条例の目的が達成されているかどうかを、議会運営委員会において、定期及び必要に応じて検証し、その結果については市民に積極的に公表するものとする。

 2 前項の規定による検証の結果、改善が必要な場合はこの条例の改正を含めて適切な措置を講ずるものとする。

   附  則

 (施行期日)

1 この条例は、平成25年4月10日から施行する。

 (諫早市議会議員定数条例及び諫早市議会定例会の回数を定める条例の廃止)

2 次に掲げる条例は、廃止する。

 (1)諫早市議会議員定数条例(平成17年条例第4号)

 (2)諫早市議会定例会の回数を定める条例(平成17年条例第5号)


議会基本条例は制定したが、並川和則議長、土井信幸副議長、藤田敏夫議会運営委員長はじめ各委員長、議員の皆様、運用ができるように意識の変革をいたしましょう。