確か、嘉門達夫(現在は嘉門タツオ)のネタで、以下のようなものがあった。

 

「『九分九厘、間違いない』と言う人がいる。

 その人は、『九割〇分一厘』間違っていることに

 気がついていない。」

 

知的好奇心をくすぐる上に、笑えるネタで、好きなもののひとつだ。

 

このたび、「すばらしい数学者たち(矢野健太郎・著/新潮社/新潮文庫)」を読んでいて、以下のことがわかった。

 

吉田光由の記した『塵劫記(じんこうき)』は珠算(和算)の書物であるが、そこには小数点以下の桁をどう記すかが述べられている。

分(ふん・ぶ)(0.1)→厘(り)(0.01)→毫(ごう)(0.001)のような具合である。

 

それに対して、日本では比の値を小数で表わしたときに0.1を単位にとってこれを「割」と呼び、これをもとにして比を表わす方法があると言うことらしい。このような比の表わし方を「歩合」と呼ぶ。

割(0.1)→分(0.01)→厘(0.001)→毛(0.0001)のような具合となる。

 

つまり、前者と後者で、意味が一桁ずれてしまうのである。

現在人にとって何割何分何厘と言えば、もっぱら野球の打率からの影響が大きいと思われるが、意外な分野からも知的好奇心はくずぐられていく・・・。