志村けん さんの銅像が東村山市にできて、話題になっている。

 

志村けんさん銅像、郷里の東村山市で除幕 「これから皆アイーンで写真を撮るんだろうね」とあらためて悼む声(中日スポーツ) - Yahoo!ニュース

 

故・志村けんさん 銅像が完成 地元・東村山市で除幕式 (fnn.jp)

 

 自分は、「アイーン」が志村けん さんの定番ギャグになる前のドリフの方を、むしろよくテレビで見ていた。この銅像を見て、突きだした右肘の位置に違和感を感じた。おそらく志村さんは、晩年この角度で「アイーン」をやっていたのだと思う。自分が記憶している志村けん さんは、もっと尖った肘をカメラ側(相手側)へ向けてポーズを取っていたような気がするのだ。そして、そのポーズを取ると体は自然に半身となる(斜に構える)こととなる。銅像は、基本的に正面を向いたものを作製することとなるので、半身の体勢は似つかわしくないし、安定感が出ない。

 

 「アイーン」のルーツについては、最初は「アイーン」と発声していなかったが、吉本の芸人があのポーズで「アイーン」と言い始め、のちに志村さん本人が取り入れたことなど、ネット上に詳しい解説がある。

 

原西孝幸、志村さんの“アイーン”秘話明かす 今田も証言「都市伝説じゃない」― スポニチ Sponichi Annex 芸能

 

志村けんの『アイーン』の意味は?由来は手話ではなく「なすび」だった? | Cafe Talk (blogerpayaso.com)

 

 「アイーン」の元ネタは、志村さん本人がやっていた「怒っちゃや~よ」にある。劇中でも上司や隊長であるいかりや長介さんを威嚇しつつ、小馬鹿にするときに使われたポーズで、かん高い声で「怒っちゃや~よ、長ちゃん!」などと叫んでいたのを思い出す。

 それともう一つ他者はあまり指摘していないが、1980年代にプロレスブームがあったことを挙げておきたい。小学生同士で、一方が「馬場チョップ!」とか「アッポー」とか言いながら、脳天にチョップ(脳天唐竹割り)を繰り出したあともう一方が痛がったり、オーバーアクションで倒れたりして遊んだ覚えのある人も多いのではないか。実際に『8時だョ!全員集合』のコント内で、志村さんと加藤茶さんが頭突き等のプロレス技を交互に繰り出すシーンをDVDにて確認できた。

 

 あの「アイーン」のルーツは「怒っちゃや~よ」であり、その「怒っちゃや~よ」の下あごを付きだした表情のルーツは、アントニオ猪木のファイト中の顔を戯画化したものであり、あの鋭角に折った右肘はプロレスラーが逆水平チョップを打つ直前のポーズなのではないだろうか。また、「怒っちゃや~よ」とともに、志村さんがかん高い声で「何だ、バカヤロ~!」と叫ぶシーン(ギャグ?)が当時よくあったが、「何だ、バカヤロ~!」もアントニオ猪木のプロレス中の口グセだったはずである。記憶が曖昧だが、「アイーン」のポーズで「何だ、バカヤロ~!」と言っていた気もする。

 また鋭角に折った右肘には、怒ったいかりや長介に対し、「これ以上近づくな。」と言うなわばり(ボディ・ゾーン)をしめす意味もあったと思われる。以上の理由で、自分が覚えている「アイーン」のポーズは、もっと右肘の尖った部分が相手側(またはカメラ側)を向いていたイメージとなったと思われる。