1980年代・1970年代は、現代と比べて替え歌や知的所有権についておおらかであったと思う。

 そう言えば10年ほど前に、某関西AM放送局の番組で毎朝替え歌を披露していたら、上層部かどこかから強いお叱りを受けて、取りやめになったことがある。作曲者、作詞者、編曲者、歌手(演奏家も?)の完全な許可を得ないと、公共の電波で替え唄は流せないらしい。

 

 一番印象的だったのは、小学館の『コロコロコミック』に連載されていた片倉陽二・作の『(宇宙まくら)アカンベー』で披露されたもの。松田聖子の『風立ちぬ』の替え歌で、以下のようなものだった(はず)。

 

風去りぬ

今川焼

塩辛

綿菓子

心の食べ物

 

 あと、集英社の『週刊少年ジャンプ』に連載されていた新沢元栄・作の『3年奇面組』か『ハイスクール奇面組』(記憶が曖昧だが、ひょっとすると徳弘正也の『シェイプアップ乱』だったかもしれない)で掲載された、渡辺典子の『少年ケニヤ』のサビの部分の替え唄が忘れられない。

 

口移しにメリケン粉ください

 

 ちょうどその頃、『週刊少年ジャンプ』の『ジャンプ放送局』では、替え歌ではなく流行歌のタイトルを替えてベストテンにするコーナー『ザ・ジャンプテン』があった。例えば、『永遠に秘密さ/近藤真彦』を『永遠に秘密さ/三浦和義』にしたり、『飾りじゃないのよ涙は/中森明菜』を『遊びじゃないのよマッチとは/中森明菜』にしたりして採用されていた。ロス疑惑、みんな覚えてます?自分は投稿しなかったけど、本田美奈子の『Temptation(誘惑)』を『天ぷら定食(誘惑)/ダイエット中の美奈子』にして投稿しようと考えていた。あと、忘れられないのが、一風堂の『すみれ September Love』を『すみえ 三段腹デブ』にしたもの。現代ならば、アウトなギャグ・・・。オフコースの『君が、嘘を、ついた』を『君が、秘孔を、ついた』にしたのも、覚えている。

 

 で、話は元に戻して新沢元栄・作の『3年奇面組』か『ハイスクール奇面組』。山下久美子の『赤道小町ドキッ』を、『極道小町ドスッ』に替えたギャグがあり、忘れられない。これも、今はアウトな笑いかな・・・

 

 また、替え歌と近似したものに、歌詞の語尾に別な言葉を付け足す遊びがあった。一番有名なのが、1960年代にブルーコメッツが発表した『ブルーシャトウ』の変型。以下のようなものだが、前述の『アカンベー』の『風去りぬ』と同様、食べ物で統一されているのが興味深い。しかも、食べ物の第二音は全て『ン』で統一されており、リズム感を出している。

 

森トンカツ

泉ニンニク

かーコンニャク

まれテンプラ

 

 1970年代の小柳ルミ子が歌った『瀬戸の花嫁』にも、以下のようなものがあり、やはり食べ物で統一されている。

 

瀬戸ワンタン

日暮れテンプラ

夕波子な味噌ラーメン

 

 どちらが先に成立したのか不明だが、童謡の『靴が鳴る』の変型に以下のようなものがある。自分は、『靴が鳴る』の方が先ではないかと思っている。テンプラは、頻出のようで。

 

お~手テンプラ

つ~ないデメキン

野道をゆ~けバリカン

 

 そして、この歌詞の語尾に何か付ける歌のさらに変化形が、有名な『レインボーマン』の主題歌『行けレインボーマン』である。語尾からしりとり状態で単語を連続させ、元のメロディーラインは失われている。当時はパソコンもインターネットもないから、歌詞は口頭で伝承され、各地で様々なバリエーションが派生した。自分が知っているのは以下のものだが、『レインボーマン』のリアルタイム視聴世代とは言えないので、子供たちの間で結構歌い続けられていたのだと思う。

 

インドの山奥(で)

でんでんむしコロ(リン)

リンゴは真っ赤っ(か)

母ちゃん怒りん(ぼ)

ぼくが泣いちゃっ(た)

たぬきのド金た(ま)

まぬけのレインボーマ~ン♪

※最後のレインボーマ~ン♪で本来のメロディーラインに復帰する。

 

 アニメで有名なのは、『科学忍者隊ガッチャマン』の主題歌、『ガッチャマンの歌』である。自分が聞いたバリエーションには、以下の3つがある。

 

地球はひとつ 割ったらふたつ

地球はひとつ 割れたらふたつ

地球はひとつ 鏡に写せばふたつ

 

 確か、『テレビマガジン』か『テレビランド』あたりの読者投稿コーナーがあって(『小学○年生』かもしれない)、そこに『ガッチャマン』の替え唄が以下のように掲載されていた気がする。

 

誰だ誰だ誰だ

僕の笹の葉食べたのは

それは上野のパンダちゃん

命をかけて飛び出せば

科学忍法食い逃げだ

行け行け行けパンダちゃん

(この部分不明、「逃げろ×3」か)パンダちゃん

地球はひとつ

割ったらふたつ

おお パンダちゃん パンダちゃん

 

 最後に、元ネタはあったかもしれないが、口頭伝承されていくうちに変貌していった『仮面ライダーV3』の主題歌、『戦え!仮面ライダーV3』の替え唄を披露する。大阪の小学校にいた頃、自分たちで変型したはずだが、「隣のオッサンよ」が関西っぽいノリで好き。

 

赤い赤い赤いフンドシV3

ダブルタイフーンおもちゃのベルト

力と技の風車が回る

父よ母よ隣のオッサンよ

風のうなりに地が叫び

力の限りぶち当たる

敵は地獄のレストラン

戦う正義の仮面ライダーV3

 

 それから、関西のAMラジオの深夜番組『ヤングタウン』で、のちに『替え歌メドレー』を発表することとなる嘉門達夫が担当する曜日だったと思われるが、小泉今日子の『スターダスト・メモリー』を『舌~出したネズミ~♪』と歌っていたのが忘れられない。

 似たような例で、人気テレビ番組『ザ・ベストテン』で、沢田研二が『酒場でDABADA』を歌うときに、「ダバダ ディディ ダバダ ディダ」の部分を、「沢田、デンデンムシ食べた」と歌うように強要したらしいが、自分は当時見ていないので、未確認の事実。

 小泉今日子で思い出したが、大森うたえもんが、「夜明けのMEW 君が泣いた オバケのQ 犬で泣いた」と歌っていた。そのあと、「毛先が球(当時流行のハブラシの件)」と続く訳ではなかったと思うが、記憶が曖昧。

 

 そう言えば替え唄じゃないけど、『超時空要塞マクロス』の主題歌『マクロス』の「放たれた」が、「洟垂れた」に聞こえて爆笑していた記憶が・・・