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 もともと単行本として発売されていた『怪談の科学(中村 希明・著)』が、講談社ブルーバックスとして1991年2月25日に再販された。
 その98~99ページに「幻覚が伝染する」例として、「集団幻覚」の例として、ウィンパー隊のケースが紹介され、ウィンパー自身の絵画が掲載されている。1枚目の画像(上図)の通りである。
 本文では、「虚空に大きなアーチがかかり、その中に二つの十字架が、雲の上にはっきりと見えた。」とある。
 
 自分は、学者ではないし、専門家でもないだが、ウィンパー自身による絵を見て思ったことがある。これは、「二つの十字架」ではなく、アーチ状になっている黒い曲線は、垂直の黒い直線と交差しており、「三つの十字架」ではないか、と。この絵画のポイントは、虚空に浮かぶシンボル(十字架)が三つあり、それを眺める登山家が三人であることではないか、と。
 そして、これは集団幻覚などではなく、疲労と精神的ショックで判断力が鈍ったところに、たまたま現れた「ブロッケン現象(ブロッケンの妖怪)」ではないかと考えたのだ。つまり三人には、この絵画と似たものが実際に見えていたのではないか。人が立った時、そのシルエットが霞めば、1本の縦線のようになる。さらに、人間には肩や腕が左右にある訳であるから、ぼやけたシルエットは黒い十字架のように見えてもおかしくない。
 
 
 二枚目の画像は、「ブロッケン現象(ブロッケンの妖怪)」の代表的な画像であり、三枚目の画像は、三人が三人とも光輪の中に出現した「ブロッケン現象」を、絵画化したものである。いかがであろうか。
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