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自転車ごとフェリーに乗り、尾道駅方面から向島(富浜)へ。110円。
 
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因島大橋。この上を自動車が走る。右が自転車&原付、左が歩行者。
 
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生口橋。因島から生口島へ。
 
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多々羅大橋。完成時は世界一の斜張橋だった。自転車で海上の県境を越える。
 
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大三島のサイクリスト聖地記念碑と多々羅大橋。晴れて良かった!
 
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大山祇神社。オオヤマツミを祀る全国1万1000社の総本社。
 
 
 昨年11月、たいした予備知識もなしに、とあるウォーキングイベントに参加し、しまなみ海道を歩きました。多々羅大橋等、要所要所を歩き、その他はバス移動でしたので、記憶がこま切れのような感じになり、もう一度確かめたい気が起こりました。
 それともう一つ、そのイベントでは、大山祇神社の前をバスが通り過ぎるのみで、お参りができませんでした。日本の山の神と言えば、オオヤマクイとオオヤマツミ(オオヤマヅミ)。昨年7月には日吉大社と比叡山を訪れており、
 
 
 大山咋神(オオヤマクイ)はお参りしているので、山歩きを趣味としている人間としては、ぜひ大山津見神・大山祇神(オオヤマツミ)にお参りしたいと思いました。
 
 そして、尾道駅付近の尾道駅前港湾駐車場で自転車をレンタルして、体力的に行けるところまで行って帰る計画を立てました。山歩きを趣味にしており、通勤は8年くらい前に購入したグレートジャーニー3を使用しているものの、本格的なサイクリングの経験はありません。20代のときに、屋久島の尾之間辺りから大川の滝までの片道25キロ程度を往復したことがあり、2年前、伯耆大山を歩いた翌日に、大山ダウンヒルサイクリングツアーに参加し、豪円山から米子の海まで下ったくらいでしょうか。
 
 
 ちなみに、しまなみ海道では自転車を借りるときに、貸出料金1000円と保証料1000円を払い、借りた島以外のターミナルで乗り捨てた場合のみ、保証料1000円が返却されないシステムとなっており、必ず往復して元のターミナルに自転車を戻す必要がある訳ではありません。また自分は利用しませんでしたが、瀬戸内クルージングと言う業者が生口島(瀬戸田)から尾道までのフェリーを出しているので、帰路は生口島から尾道まで体力を消耗しない手もあります。
 
 普段山歩きメインの自分からすると、いたるところに自動販売機とコンビニとトイレがあるしまなみ海道サイクリングは快適でした。山歩きでは、山頂に飲料を売る場所がなく、背中に2リットル以上の飲料を背負って歩くことも多々ありました。道中にトイレがないような山も、いらぬストレスとなることがよくあります。その点で、今回はおおいに楽しむことができました。それから、山歩きにはないサイクリングの妙味・醍醐味は、「風との一体感」ではないでしょうか。特に信号機のない下り坂で、風の中を疾走する感覚は、最高です。信号機の少ないこと、子供や高齢者が突然飛び出さないこと、空気がきれいなこと、下り坂があること、この4つがサイクリングを楽しく盛り上げてくれるポイントだと思います。
 
 また、山メインで、あまり海に行かず、マリンスポーツにも興味がなく、島暮らしもしたことがない自分としては、今回初めて意識したことがあります。「山」と「海」の中間が「島」であり、水没しなかった低山が「島」ですね。当たり前だと思う人も多いかもしれませんが、自分には新しい視点でした。昔、『森の不思議(神山恵三・著/岩波新書)』と言う本を読んだことがあり、確か「海」の長所として、「一般の風景が複雑に凸凹しているのに対し、海は水平線が一直線に伸びており、心が癒される点」を挙げていたような気がします。しまなみ海道は、ほぼ水平線が見えることはなく、向こうには別の島と接する水面が「一直線に近いゆるやかな曲線」として続く訳ですが、とても美しい風景でした。青い空、緑の島、ターコイズとエメラルドの海、いいじゃないか!と思いました。
 
 さて、レンタサイクルは早く借りられてしまうことがあり、19時までに尾道駅前港湾駐車場へ自転車を返すことも考えて、営業の始まる午前7時に駐車場へ行きました。平日でしたが、すでにたくさんのサイクリストが集っていました。自転車を押して、向島(富浜)へ渡るフェリーに自転車ごと乗り込みました。運賃は110円。向島から尾道駅方面へ、自転車ごとフェリーに乗って通学する高校生を見かけました。自分は島暮らしや港暮らしをしたことがないので、ちょっと新鮮な風景でした。
 向島(むかいしま)からサイクリングを開始しました。通常の自動車が走る道路の路肩には白線(車道外側線)が引かれていますが、しまなみ海道のルートには、その白線の横に青色の線が引いてあり、直感的に道を判別できて、便利です。特に、橋は自動車と原付と自転車で別の出入口になっていたりして複雑ですので、青線には助かります。日本語のわからない方でも、この青線だけで迷わないサイクリングができそうです。ちなみに、股ずれと前立腺や肛門へのダメージを予想して、事前に以下リンク先の3Dゲルパッドインナーパンツを購入し、
 
 
 手がしびれたりしないように、GEL入りの指なしグローブも購入して、使いました。
 
 
 日焼け止めも、顔・首・腕と塗りました。
 
 向島から、因島大橋を渡り、因島(いんのしま)へ到りました。因島大橋は上の道を自動車が走り、下の道を自転車と原付と歩行者が通るようになっており、面白かったです。ケージの中を自転車で疾走するような感覚でした。晴れていたので、海が絶景です。コンビニで、アイスキャンデーを食べ、次の飲料を購入しました。
 次に生口橋を渡り、生口島(いくちじま)へと着きました。島の周囲を半周するような素晴らしいコースでした。そして、多々羅大橋を越えて、大三島(おおみしま)です。多々羅大橋は、完成時世界一の斜張橋だったそうですが、現在第5位だそうです。前述の比叡山トレッキングでは、山歩きで滋賀県と京都府の県境を越えましたが、今回の多々羅大橋で、初めて海の上の県境を自転車で越えると言う体験をしました。広島県から愛媛県です。多々羅展望台に寄ったあと、道の駅「多々羅しまなみ公園」内の「サイクリストの聖地」記念碑に寄りました。4枚目の画像です。サイクリングは喉が渇き、この辺りから地元産柑橘系ストレートジュース等をガブ飲みするのですが、これは別の記事にします。
 
 それから、大三島橋へ向かう通常のルートから逸れて、島のほぼ中心部を横切るイメージの三村峠を越えて大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)へ行きました。「ツミ」ではなく「ヅミ」と濁るようです。前述したように、日本の代表的な山の神は「オオヤマツミ」と「オオヤマクイ」。そして山の神が「ヤマツミ(ヤマヅミ)」、海の神が「ワタツミ(ワダツミ)」、ところが興味深いことに、ここの大山積神の別名は、「和多志大神(ワタシオオカミ)」。「和多志大神」の「ワタ」は、「ワタツミ」の「ワタ」と同様、「海」を表す。つまり、愛媛県(伊予)の大山積神(大山祇神)は、山の守護神であり、海の守護神でもあると言う結論になるのです。これは、先ほど述べた『「山」と「海」の中間が「島」であり、水没しなかった低山が「島」』との話と繋がってきます。
 
 このあと、よくマップを見なかった自分が悪いのですが、元来た道を引き返して大三島橋を渡っていれば、伯方島(はかたじま)まで行けたかもしれません。何を思ったか、大三島の北側の周囲を半周して多々羅大橋へ戻ってしまいました。この半周に多々羅大橋から大山祇神社までの道中を足すと、移動距離約23キロ。多々羅大橋(大三島側)から尾道までが約39キロ。余力を残しておかないと、19時にレンタサイクル場所まで戻れないので、ここから帰路に就きました。
 結果的に、直射日光の中、合計100キロぐらいならサイクリングできる体力があることが判明しました。でも、お尻(摩擦による)と首(同じポーズをとり続けた筋肉痛による)が痛かったです。
 
※土日祝日等にチャレンジする場合は、トライアスロンやロードレース等の行事と重なっていないか事前確認した方がいいかも。
 
※『闇の日本史(沢 史生・著/彩流社・刊)』より引用。『ヤマツミ(山の霊)は天狗に擬せられる神だが、ここで第一章に記した河童の習性を想起してほしい。河童は一年のなかばを水中で暮らし、そのなかばを山にはいって過ごす。山入りした河童を山童(やまわろ)とも天狗ともいうのである。ここにワタツミとヤマツミは、元々が同じ神であると知れる。』