生物学的には、ニホンオオカミの絶滅は惜しいことではあるが、これだけ世間でヒグマやツキノワグマ、イノシシによる負傷事故や死亡事故が報道される実情から考えて、もしも現代までニホンオオオカミが山間に生息していれば、山歩きや山菜採りをする者はもちろんのこと、農業や林業に携わる人も、もっと注意深く行動しないといけなくなっただろう。クマやマムシやスズメバチなみの脅威になるのではないか。

 ちょっとネット上で調べてみると、基本的にニホンオオカミに人が襲われることはほとんどなかったようだが、狂犬病に感染することで、人を襲うほど凶暴になることがあったようだ。狂犬病は、江戸中期に海外からやってきたらしい。

 例えば、日没までに下山するつもりが道に迷いビバーグ。冷たい風とともに、ニホンオオカミの遠吠えが、遠からぬ場所から耳に伝わるシチュエーションは、個人的には避けたい。襲われなくても、かなりの精神的ダメージだ。