イメージ 1
布引の滝の雄滝。新幹線の駅からさほど遠くはない。
 
イメージ 2
布引貯水池。ダム湖である。
 
イメージ 3
摩耶山へ向かう山道の木洩れ陽に感動。光の円がユラユラ揺れる。
 
イメージ 4
摩耶山頂三等三角点(698.6M)。ここが最高点(702M)ではない。
 
イメージ 5
掬星台。三角点を摩耶山の陰とするならば、掬星台が摩耶山の陽。
 
イメージ 6
忉利天上寺。あまりの天気の良さに、まるで天上界にいる心地。
 
 摩耶山(まやさん)は、神戸市灘区にある標高702メートルの山です。関西百名山、ふるさと兵庫100山に選定されています。ちなみに、布引の滝は、日本三大神滝のひとつで日本の滝100選のひとつ、布引渓流は名水100選のひとつ、布引貯水池はダム湖100選のひとつです。また、摩耶山掬星台(きくせいだい)からの展望は、日本三大夜景に選ばれています。たまたま火曜日に休みがとれ、火曜日は摩耶ロープウェーと摩耶ケーブルが休んでいる日とのことで、ハイカー以外の観光客が少ないのではないかと思い、摩耶山に登ることにしました。梅雨明け宣言前だったのですが、ちょうど日本を直撃しなかった台風と直撃した台風の合間の日で、風のある、美しい晴れの日でした。
 
 今まで布引の滝を見に行ったことがなかったので、新神戸駅まで神戸市営地下鉄で行き、JR新神戸駅の1階バス停横から高架をくぐって布引渓流の遊歩道を歩きました。布引の滝の雄滝(おんたき)は、梅雨の時期だったので水量も多く、予想以上の迫力でした。これだけ大都会の近く、新幹線の駅の近くに、清い水の迫力のある滝があることに驚きました。カメラでは、真っ青な空と轟音を立てる滝のコントラストを一枚におさめることができず、残念です。滝壺を写せば、青空が写りません。先を急いだため、夫婦滝、鼓滝、雌滝(めんたき)は、ゆっくり鑑賞できませんでした。
 
 布引五本松ダムと布引貯水池を越え、市ヶ原に至りました。そしてトエンティクロスと天狗道の分岐点から、天狗道を選びました。旧版の「分県登山ガイド 兵庫県の山」では、地蔵谷が熟練者向き、黒岩尾根が中級向きと書いてありましたので、今回は避けました。この天狗道の途中で、きれいな円形の光が風でユラユラと揺れる木洩れ陽に出会いました。その揺れ方と、陰影の細かさに感動しました。これもデジカメ画像では、理解してもらいにくいかもしれませんが、疲労が癒される瞬間でした。この日は、かなり気温が高かったにもかかわらず、布引の滝→市ヶ原→天狗道は、結構木陰も多く、風もあったので助かりました。
 また、この天狗道では、二度もキビタキと出会いました。キビタキのさえずるところを肉眼で見たのは、おそらく初めてです。以前にも述べたことがありますが、野鳥の中では、スズメ目が好きです。しかし、冬鳥のジョウビタキに比べて、キビタキは人を警戒するので、安物のコンパクトデジカメには収まってくれませんでした。
 
 やっと、摩耶山頂の三角点(698.6メートル)に辿り着きました。木が生い茂り、いたるところに笹が生えていますが、生命力と聖なる力を感じさせる場所でした。天狗岩と呼ばれる岩がありました。これが磐座(いわくら)であり、古くから山岳信仰の対象であったことがうかがえます。
 このあと寄る掬星台(標高690メートル)が、摩耶山山頂だと思っている方は大間違いなのですが、実は三等三角点(698.6メートル)も摩耶山の最高地点ではありません。三角点よりさらに西側に、標高702メートル地点があるようです。体力と時間を考慮して今回は最高地点へは向かいませんでした。次回の宿題としたいと思います。最高地点については、下記リンク先等を参考にしてください。
 
 
 思い返せば、広嶺山(広峰山・廣峯山)に登ったにもかかわらず、241メートルピークがどこかわからず、書写山(書寫山)の円教寺(圓教寺)まで登りながら、371メートルの山頂がどこにあるのかわからぬまま下山した経緯があり、今回もおなじ轍を踏んでしまったようです。
 
 それから、掬星台(きくせいだい)に向かいました。人工的に整備されているために素晴らしい展望で、青い空と青い海を満喫できました。掲載のデジカメ画像では判別できませんが、肉眼では六甲アイランドの向こうには関西国際空港が見え、紀伊半島が見えます。摩耶山頂は、掬星台と山頂三角点の陰陽合わせて体験すべきだな、と思います。
 
 この時点で、だいぶん脚が疲労していましたが、オテル・ド・摩耶の前を通って真言宗の天上寺(忉利天上寺 とうりてんじょうじ)へ行きました。観光客も少なく、空は真っ青で、天上の建築物にいる気分でした。ここまで来たからにはと、天上寺の裏山にあたる摩耶別山(まやべっさん)まで歩きました。標高は717メートルと摩耶山よりもさらに高いのですが、展望は良くありません。さらには水道局の施設があるために、摩耶山頂三角点ほどの神々しさも感じませんでした。
 実は、忉利天上寺は元からこの場所にあった訳ではありません。これから寄る旧天上寺跡のところにあり、山岳信仰の地として人気のある寺と参道だったようですが、何と昭和51年(1976年)に賽銭泥棒の放火により施設が全焼し、現在の地に移転した経緯があります。その後、旧天上寺付近は参拝者が激減し、遊園地や土産物屋等もなくなり衰退したようです。
 
 摩耶山山頂から青谷道を通って、旧天上寺跡へと着きました。標高55メートル程度の新神戸駅から、登ったり下りたりしながら標高710メートル以上の摩耶別山まで歩いたので、左膝が笑ってしまい、下りは何度か滑りそうになりました。どの山でも、下山時に転落、滑落の事故が多いのもうなずけます。
 標高だけで考えると、旧天上寺跡は、現在の天上寺よりも低いです。しかし、旧天上寺の石畳から海側を望むと、本当に天上に施設を建てたのではないか、と錯覚しそうになる絶景でした。トレッキング的に考えると今回のルート、新神戸駅→布引の滝→市ヶ原→天狗道→摩耶山山頂→天上寺→摩耶別山→青谷道→旧天上寺跡は正しいのですが、歴史を噛みしめる意味、山岳信仰の霊性を感じる意味では失敗でした。また、初めて訪れる史跡や霊地に近づくにつれ、高揚感は増していくべきで、そのためには青谷道を登り上がるべきだったと後になって思いました。古くからたくさんの人々が信仰目的で登った青谷道の参道(山道)を踏みしめつつ、過去に思いを馳せ、旧天上寺跡の往時をしのびながら、青谷道を登り、現在の天上寺まで歩くべきでした。青谷道から旧天上寺跡までの道のりは、昭和で時を止めたような妙な懐かしさと、無常を感じさせるものでした。また、石段や石畳に使用されている石材は、自分の生まれるずっと前からこの地に埋められ、多くの人々を見守ってきたことでしょう。
 
 次回は、布引の滝の雌滝等もしっかり見たいですし、上野道やトエンティクロスも体験してみたいものです。摩耶ケーブル・摩耶ロープウェイ・神戸布引ロープウェイにも乗ってみたいと思います。
 
 
摩耶山
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
布引の滝
 
 
 
忉利天上寺
 
 
 
 

※関連リンク先

「山歩き まとめ(改)」 
https://ameblo.jp/musyaavesta/entry-12624377490.html